外国人社員の不満とは?

「外国人ってすぐに辞めちゃうんでしょ?」

そのように職場に定着しないイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。「はい、その通りです」というのが私たちの答えです。もし、本当に外国人が職場に定着しているのであれば、外国人の受け入れ支援だの定着支援だのは存在しないわけですから。

なぜ、定着しないのか?

その原因を探るため、離職をした理由としてよく挙げられる4つの「不満」について紹介していきたいと思います。

その①「キャリアアップができない!」

よく耳にする不満です。外国人社員の不満や離職に関するアンケートでも頻繁に出てきますね。

海外ではジェネラリストよりも、専門性の高いスペシャリストを好む傾向が強く、スキルを持っていた方が有利であることが一般的なため、専門性の高い業務に携わり、スペシャリストとしての経歴を作りたいと考えている人が多い傾向にあります。

しかし、日本の企業では、社員をさまざまな部署で、いろいろな仕事を経験させてジェネラリストを育成する制度が広く運用されています。この両者のズレが、キャリアアップできない!という不満に直結します。「こんなはずじゃなかった」「これでは専門性が身につかない」「自分のスキルが評価されていない」という不満を感じて1〜2年で辞めてしまうのです。

さて、肝心の解決方法ですが、正直言って簡単です。その外国人社員が求めるキャリアプランを用意するだけでいいのです。

そんな簡単に育成計画や人事制度は変えられないよ!

そんな不満の声が聞こえてきそうです。ご安心ください。そんな大掛かりな改革は不要です。まず、やるべきは”キャリアアップ”の言葉に隠れた姿を正確に知ることです。スキルを磨いて一人前という自負と評価を得たい、部下を率いてプロジェクトを成功させたい、新しい資格や免許をどんどん得たい、管理者として高い給与を得たい・・・”キャリアアップ”という言葉を使っていても、その意味するところは実は多様です。そこを理解せずして、対策を講じても当然効果はないのです。

「キャリアアップって言うけれど、あなたにとっての”キャリアアップ”って何なの?」これを明らかにし、会社として提供できるものを約束する。これを3ヶ月毎に1時間〜2時間やれば、キャリアアップに関する不満はグッと少なくなります。

その②「自分の時間が取れない!」

前述のキャリアアップと同じく、日本企業全体の構造的な問題です。そして、これも勘違いが横行していて、正しい対策を取れていない会社が多いです。

「日本は労働時間が長い!短くしなければ外国人は定着しない!」

ときどき、このような意見を目にしますが、これは間違いです。日本の労働時間は短いです。実際、OECD加盟国の2019年の総労働時間数の平均は1,726時間であるところ、日本は1,644時間です。そう、平均以下なのです。アメリカやスペイン、イタリア、ロシア、メキシコの方が長い時間働いています。
出典:『世界の労働時間 国別ランキング・推移(OECD)』

日本の労働環境の問題は、仕事とプライベートとの境目が曖昧で、業務時間外に仕事の話や対応を迫られる点にあります。※サービス残業は論外です。

「退勤したのに上司から電話やメールが入る」「自分の意志で自由に休暇が取れない」「私は仕事が終わって早く帰りたいのに、会社の飲み会がある」このようにプライベートな時間を業務が侵食してくる状態が嫌なのです。退勤したのだから業務は次出勤する時に、プライベートを充実させるための仕事なのだから休暇はとても大切、会社規模のイベントは勤務時間内で、こういった感覚を持たなければ外国人社員の定着はうまくいきません。

単純に労働時間が長いだけならそこまで大きな不満になることはありません。働いた分、給与が増えて自分へのご褒美になりますし、人一倍努力していち早く成長したいと燃える外国人社員はたくさんいます。ただ、効率の悪さはいただけません。「定時で業務は終える。それ以外は自分の時間。」単純明快なこの理屈を徹底するだけで、この問題は解決します。

その③「給料が低い!」

「なぜこんなに貢献しているのに給与が上がるスピードが遅いのか?」「外国人であることで昇進ができないのではないか?」と考えてしまう人もいるようです。

これは年功序列のシステムが災いしている場合が多いです。また、柔軟で合理的な人事考課がなされてこなかった企業にも当てはまります。

正直なところ現在働いている日本人社員のことも考えると、なかなか改革しづらい部分です。外国人社員の数ある不満の中では最も解決しづらいと言ってもいいのではないでしょうか。

少しでも不満を軽減するため、今の仕事が将来のキャリアにどう繋がるか、どういうメリットがあるのか、という点を丁寧に説明し、給与以外のインセンティブを充実させていくことが現実に取りうる手です。

その④「人間関係がうまくいかない!」

職場内の人間関係は日本人同士でも問題となり、離職理由にあげられることもよくありますが、外国人社員ならではの難しさがあります。それは、和に入れないというものです。

外国人社員を積極的に無視したり、迫害したりする人はほとんどいないでしょう。一方で、積極的にコミュニケーションをとって、会社の和に入れていこうとする人もあまりいないのではないでしょうか?

実は、悪意のない無関心も外国人社員に居心地の悪さを覚えさせているおそれがあります。例えば、お昼ごはんをいつも独りで食べていたり、業務以外の会話は一切しなかったり、プライベートでも交流を持つ会社内の仲間が誰もいなかったりなどは要注意です。絶対的にコミュニケーションの量が足りず、「受け入れてもらえていない」という感覚を与えているかもしれません。

一人を好む人もいますが、一般的には人間は社会的動物であり、群れの中で安心感や充足感を得ます。同じコミュニティに属しながら独りでいる時間が長いと、悪い方向に働く場合が多いです。ちょっと声をかけたり、誘い出したりするだけでもいいので、和の中に入れていく努力が周囲の社員には求められます。

日本人のものさしで”外国人”を測っている限り、問題は続く

いかがでしたでしょうか?私自身、日本で働く外国人の方々や外国人留学生と話していると「学生時代に勉強していた◯◯のスキルを活かすために、この企業で働きたいんです」という話をよく聞きます。なんとなくで就職をした自分を省みると、真剣にキャリアのことを考えている姿にはいつも感銘を受けています。

コミュニケーションと文化によるすれ違いについては、以前掲載した記事でも、詳しく紹介しています。
「採用した外国人材が定着しない・・・その原因は?」

人材獲得難で苦しむ北陸のメーカーが、日本語のできる理系大卒を15名採用・戦力化できたその秘密とは?

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