外国人雇用で使える助成金・補助金の話

2015年以降、毎年10%を超える勢いで増加する外国人雇用。2019年の改正出入国管理法施行に見られるように、日本政府も外国人労働者の受け入れを推進しています。

周囲の盛り上がりを見て、「うちでも外国人雇用を始めようかな」と考えている方も多いことでしょう。しかし、人を採用するとなると少なからずコストがかかり、気軽に試してみようという気にもなれません。

今回は人材不足と予算不足の両面で苦しむ企業にとって救いと言える「助成金」や「補助金」について解説していきたいと思います。

「助成金」と「補助金」の違いは?

まず、「助成金」と「補助金」の違いを簡単に見ていきましょう。よく言われるのは、助成金は厚生労働省が出すもの、補助金は経済産業省が出すもの、といった説明ですね。その他にも、下記図のような違いがあります。

名称 管轄 目的 取得難易度 財源
助成金 厚生労働省 雇用の増加、人材育成 低い 雇用保険
補助金 経済産業省 公益性があると認められた事業の促進 高い 法人税

補助金の方が助成金を受けるより難易度が高い、というのはどういうことでしょうか。

実は、助成金は要件を満たしていればほぼ間違いなく支給されますが、補助金は決められた期間内に厳しい審査を通過しなければならず、また予算が決まっている関係上申請期限前でも上限件数に達した時点で受付が終了するなど、ハードルが高く複雑です。その分給付される額は高いのも特徴なので、申請する事業者が多く、結果的に審査合格倍率も高くなることが多いのです。

そして、助成金や補助金の財源は、普段我々が納税している「雇用保険」や「法人税」です。こういった制度を活用しないということは、支払いや納税をしているにもかかわらず、その恩恵に与っていないとも言えます。申請の複雑さなどから利用を見送っていた方々もいるでしょうが、外国人雇用の機会にぜひ活用してみてください!

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外国人雇用のための助成金の種類

さて2022年現在活用できる厚生労働省の助成金は主に下記の5種類です。

各助成金それぞれの特色を見ていきましょう。

トライアル雇用助成金(一般コース)

目的

職業経験、技能、知識等から安定的な就職が困難な求職者の早期就職の実現や求人者の雇用機会の創出を図ること

対象

ニートやフリーター、生活困窮者等を、ハローワークや職業紹介事業者等の紹介により、一定期間試行雇用した事業主

金額

原則…雇用した支給対象者1人あたり40,000円/月

母子家庭の母等または父子家庭の父…雇用した支給対象者1人あたり50,000円/月

ただし、トライアル雇用の期間が規定より少ない、あるいは期間中に常用雇用へ移行した、または支給対象者および事業主の都合で休暇・休業があった等の理由で就労予定より少ない日数しか実際には就労してない場合は、その落差に応じて先述の支給額から減ぜられた額が支給されます。

引用元:厚生労働省『トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)』)

手続

管轄の労働局、ハローワークで申請

人材開発支援助成金(特定訓練コース)

目的

雇用する労働者のキャリア形成を効果的に促進するため、職務に関連した専門的な技能を修得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した事業主等に対し、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成すること

対象

上記目的に符合する事業主

金額

訓練時間20~100時間…150,000円(100,000円)

訓練時間100~200時間…300,000円(200,000円)

訓練時間200時間以上…500,000円(300,000円)

()手前は中小企業、()内は大企業の額。ただし、訓練を受けた従業員が正社員化せず、非正規のままである場合や生産性要件(後述)を事業者が達成できていない場合は上記額から経費助成率が低下した分の額が支給されます。

引用元:厚生労働省『人材開発支援助成金特別育成訓練コースの経費助成限度額を引き上げ、経費助成率を細分化します

手続

管轄の労働局、ハローワークで申請

キャリアアップ助成金(正社員化コース・処遇改善コース)

目的

有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者などのいわゆる非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため

対象

上記労働者の正社員化、処遇完全の取組(賃金改定、社内全体の制度の変更など)、法定外の健康診断制度の創設などを実施した事業主

種類

「正社員化支援」は正社員化コース、「処遇改善支援」はそれ以外のコースに分かれます。

正社員化コース…有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換または直接雇用した場合

賃金規定等改定コース…すべてまたは一部の有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を2%以上増額改定し、昇給した場合

賃金規定等共通化コース…有期雇用労働者等に関して正規雇用労働者との共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに作成し適用した場合

賞与・退職金制度導入コース…有期雇用労働者等に関して賞与・退職金制度を新たに設け、支給または積立てを実施した場合

選択的適用拡大導入時処遇改善コース…有期雇用労働者等を社会保険の被保険者とした場合

短時間労働者労働時間延長コース…短時間労働者の週所定労働時間を延長するとともに、新たに社会保険の被保険者とした場合

金額

正社員化コース…有期なら従業員一人あたり720,000円(540,000円)、無期なら従業員一人あたり360,000円(270,000円)

賃金規定等改定コース…対象労働者1~5人なら従業員一人あたり40,000円(26,250円)、対象労働者6人以上なら従業員一人あたり36,000円(24,000円)

賃金規定等共通化コース…1事業所あたり720,000円(540,000円)

賞与・退職金制度導入コース…1事業所あたり480,000円(360,000円)、その他加算措置あり

選択的適用拡大導入時処遇改善コース…1事業所あたり240,000円(180,000円)、その他加算措置あり

短時間労働者労働時間延長コース…週所定労働時間を1~2時間延長なら従業員一人あたり70,000円(52,000円)、週所定労働時間を2~3時間延長なら従業員一人あたり140,000円(105,000円)、週所定労働時間を3時間以上延長なら従業員一人あたり284,000円(213,000円)

()手前は中小企業、()内は大企業の額。ただし生産性要件を事業者が達成できていない場合は上記額から減額されます。

引用元:厚生労働省『キャリアアップ助成金のご案内

手続

キャリアアップ計画等の作成・提出

弱年技能者人材育成支援等事業(ものづくりマイスター・ITマスター・テックマイスターによる実技指導)

目的

若者のものづくり、技能離れ等の実態を踏まえ、技能尊重機運の醸成、産業活動の基礎となる技能者の育成を図ること

対象

中小企業や学校など

金額

コーディネート費用は無料。ものづくりマイスターの派遣費用や指導に係る材料費は、規定の範囲内で、地域技能振興コーナーが負担。詳しくは最寄りの地域技能振興コーナーへお問い合わせください。

手続

最寄りの地域技能振興コーナーへ相談ください

人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

目的

外国人特有の事情(日本の労働法制や雇用慣行などに関する知識の不足や言語の違いなどから起きる、労働条件・解雇などに関するトラブル)に配慮した就労環境の整備を行い、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して、その経費の一部を助成すること

対象

在留資格に関わらず、雇用保険の被保険者となる外国人労働者(この条件が満たされれば、アルバイトの外国人であっても対象となります)を雇用する事業主。下記のような取組・要件を実施・達成することが条件

具体的な取組(就労環境整備措置)
必須 雇用労務責任者の選任 雇用労務責任者を事業所ごとに選任し、全ての外国人労働者と3か月ごとに1回以上の面談(テレビ電話による面談を含む)を行う
就業規則等の社内規程の多言語化 就業規則等の社内規程の全てを多言語化し、計画期間中に雇用する全ての外国人労働者に周知する
選択 苦情・相談体制の整備 全ての外国人労働者の苦情または相談に応じるための体制を新たに定め、外国人労働者の母国語または当該外国人労働者が使用するその他の言語により苦情・相談に応じる
一時帰国のための休暇制度の整備 全ての外国人労働者が一時帰国を希望した場合に必要な有給休暇を取得できる制度を新たに定め、1年間に1回以上の連続した5日以上の有給休暇を取得させる
社内マニュアル・標識類等の多言語化 社内マニュアルや標識類等を多言語化し、計画期間中にそれを使用する全ての外国人労働者に周知する

上記取組のうち必須メニュー2つと選択メニューのどれか1つを実施する必要があります。

主な支給要件
外国人労働者の離職率 計画期間の終了から1年経過するまでの期間の外国人労働者の離職率が10%以下(外国人労働者数が2~10人の場合は、1年経過後の外国人労働者離職者数が1人以下)であること
日本人労働者の離職率 計画前1年間と比べて、計画期間の終了から1年経過するまでの期間の日本人労働者の離職率が上昇していないこと

上記目標の達成と、外国人雇用状況届出を適正に届ける必要があります。

金額

事業主から外部の機関又は専門家等に対して支払いが完了した以下の経費を対象とします

通訳費

翻訳機器導入費(上限100,000円)

翻訳料

弁護士、社会保険労務士等への委託料(外国人労働者の就労環境整備措置に要する委託料に限る)

社内標識類の設置・改修費費(多言語の標識類に限る)

金額については生産性要件を事業者が達成しているか否かで変動します

生産性要件を満たしている 支給対象経費の2/3(上限額720,000円)
生産性要件を満たしていない 支給対象経費の1/2(上限額570,000円)

引用元:厚生労働省『人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

手続

管轄の労働局、ハローワークで申請できます。

生産性要件について

助成金支給の金額の項目で、たびたび出てきた「生産性要件」。これを事業所側が満たしているか否かで支給される金額や助成率に隔たりが出てきてしまいます。

生産性の公式

まず「生産性」とは、次の式で計算されます。

「生産性」= 付加価値 ÷ 雇用保険被保険者数

※付加価値=営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課

要件詳細

助成金の支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」が、

その3年度前に比べて6%以上伸びている

その3年度前に比べて1~6%伸びており、かつ金融機関から一定の「事業性評価(都道府県労働局が、助成金を申請する事業所の承諾を得た上で、事業の見立てを与信取引等のある金融機関に照会し、その回答を参考にして、割増支給の判断を行うもの)」を得ている

のいずれかの条件を満たしている場合、その事業所が「生産性要件」を満たしていると言えます。

外国人雇用のための補助金について

経済産業省が実施している支援事業。この頃有名なものだと「事業復活支援金」や「月次支援金」などでしょうか。その種類は非常に多岐にわたり、またそれぞれ受給するためには厳しい審査やたくさんの書類の作成が必要です。基本的に申請したい場合は直接『経済産業省HP』で最新の情報を入手し確認することが推奨されます。今回はその支援制度のうちの一つをご紹介します。

技術協力活用型・新興国市場開拓事業(国際化促進インターンシップ事業)

日本企業における高度外国人材の活用を進めるため、開発途上国の優秀な学生等を対象として、またその受け入れ活用について関心のある中堅・中小企業を対象に、国際化促進インターンシップ事業を実施します。

なんとこの制度の予算規模の上限は300,000,000円!億単位です。と同時に募集要項『令和4年度技術協力活用型・新興国市場開拓事業(国際化促進インターンシップ事業)企画競争募集要領』のボリュームも厚生労働省の助成金と比べ3倍近くあります。読むだけでも一苦労ですが、活用しないと勿体ないのは言うまでもありません。

まとめ

外国人労働者雇用を対象にするものだけでも大変種類が豊富ですね。一つの助成金・補助金が条件的に厳しく申請できない場合でも、あきらめずに探せば申請できるものが見つかるかもしれません。

以前の記事「「ダイバーシティ経営」実践のすすめー外国人雇用に力を注ぐ企業の取り組み」でも触れた「ダイバーシティ経営」を目指すならば、外国人材の定着を目的とした人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)がお勧めです。企業内環境の整備等を行うことで、現在働いている社員の働きやすさ改善とともに、就活生へのアプローチもしやすくなります。当該助成金をうまく活用することで、入社率と定着率の問題を同時に解決出来るかも知れませんね。

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