インドネシアの日本語教育から考える外国人採用の未来

こんにちは、インドネシアで日系企業に勤めています小林です。皆さんはインドネシアと聞くとどんなイメージを思い浮かべますか?親日国だと聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実際にインドネシアに住んでいると車や化粧品・食料品など様々なブランドがインドネシアで長く使われてきています。

インドネシアでは最初に広まったブランドがそのまま名称として広まることが多く、家庭用揚水ポンプはポンプと呼ぶよりもサンヨーと言ったほうが伝わるなどという現象が起きています。(その他の例:バイクはホンダ、一眼レフカメラはニコンやコダック、うま味調味料は味の素)

また、日本人と名乗ると「ありがとう」と知っている日本語で声をかけてくれたり、アニメや漫画から話が広がったりすることもあります。

今回は親日国と知られるインドネシアで日本語を学ぶ機会はどんなものがあるのか?また、それが彼らのキャリアにどう関わっていくのかを見ていきます。

日本語学習者数

そもそも現在世界全体で日本語を学んでいる外国人はどれくらいいるのでしょうか?

国際交流基金が実施する「海外の日本語教育の現状 2018年度 日本語教育機関調査より」によると、世界の日本語学習者数は合計で約385万人。前回の2015年度から約19万人増加しています。

国別で見ていくと下記が学習者が多い国上位10ヶ国です。

1.中国(約100.4万人)

2.インドネシア(約71万人)

3.韓国(約53万人)

4.オーストラリア(約45万人)

5.タイ(約18.5万人)

6.ベトナム(約17.4万人)

7.台湾(約17万人)

8.アメリカ(約16.7万人)

9.フィリピン(約5万人)

10.マレーシア(約4万人)

非漢字圏のインドネシアが世界第2位というのは意外ではないでしょうか。

実は、多くの中学や高校で外国語の科目として日本語が取り入れられています。日本の大学でも英語とは別で、第二外国語として中国語や韓国語、ドイツ語などを選択して履修した経験があるかと思います。似たような形で、多くの高校で第二言語として日本語が選べるようになっています。

学習者数 10万人あたり
学習者数
教育段階の構成 人口
初等 中等 高等
インドネシア 709,479 298.6 7,148 650,215 28,799 237,641,326
タイ 184,962 280.3 4,028 143,872 20,506 65,981,659
ベトナム 174,521 203.3 2,054 26,239 31,271 85,846,997
フィリピン 51,530 51.0 1,217 11,412 13,508 100,979,303
マレーシア 39,247 138.5 45 19,417 14,720 28,334,135
ミャンマー 35,600 69.1 21 23 1,760 51,486,253
シンガポール 12,300 326.1 394 1,457 4,056 3,771,721
カンボジア 5,419 40.5 35 1,205 931 13,395,682

国際交流基金「海外の日本語教育の現状」を参考に筆者作成

10万人あたりの学習者数で見るとタイとの差は小さく、人口の多さが学習者の多さに影響しているともいえます。

一方で初等・中等教育から日本語学習機会が多いのはダントツでインドネシアのようです。フランス語やスペイン語など複数の国で使われている言語もある中、日本のみで通用する日本語を同等に学べる機会があるというのは興味深いですよね。

日本語パートナーズとインドネシア

日本語学習者、世界第二位のインドネシア。しかし実情としては、日本語を教えられる日本語教師の数や経験不足が課題となっています。このために日本政府は国際交流基金とともに「日本語パートナーズ」という派遣制度を行っています。

この日本語パートナーズは、アジア各国現地の高校で日本語を教えている日本語教師のサポート役を派遣する事業です。日本語授業のアシスタントや、日本文化の魅力を伝える交流活動を数ヶ月に渡って行います。

新型コロナウイルス感染症拡大前の2019年度ではなんと140人以上が日本からインドネシアへ派遣されていました。

国名 人数
インドネシア 148人
タイ 85人
ベトナム 37人
台湾 14人
フィリピン 13人
ミャンマー 5人
ラオス 3人
マレーシア 25人
カンボジア 1人
ブルネイ 1人
シンガポール 1人

日本語パートナーズ「これまでの派遣実績」2019年度から国別に計算

日本語能力試験(JLPT)とインドネシア

日本語能力を測るために世界中で受験されている日本語能力試験(JLPT)、インドネシアでの受験数も見ていきましょう。このJLPTは、日本への留学・就業だけではなく、現地日系企業で就業する際にも参考にされており、資格手当などを出している会社もあります。

実施年度 全世界受験者数 インドネシアの受験者数
2021年度 335,915人 1,051人
2020年度 370,028人 実施なし
2019年度 1,168,535人 26,703人
2018年度 1,009,074人 19,714人
2017年度 887,380人 15,504人

日本語能力試験 過去の受験データ」を参考に筆者作成

2019年までは、ジャカルタ、バンドゥン、スラバヤ、メダン、マラン、スマラン、マカッサルと7都市で開催されていた日本語能力試験ですが、新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年7月は全世界で中止、12月はインドネシアを含む複数の国で中止になりました。

2021年7月は、メダン、マナド、マカッサルの3都市で開催されましたが、ジャワ島外の都市のみでの開催でした。このため、例年よりも受験者数が大きく減っています。

下記の表は全世界での応募者数・受験者数です。新型コロナウイルス感染症拡大直前の2019年12月実施と比べると、実施国・地域数と受験者数ともにほぼ半減まで数が減っています。

実施年・実施回 実施国・地域数 受験者数
2021年7月 26 335,915
2020年12月 29 370,028
2019年 87 1,168,535
7月 47 550,448
12月 76 618,087
2018年 86 1,009,074
7月 41 470,079
12月 77 538,995

日本語能力試験 過去の受験データ」を参考に筆者作成

日本語を学んだその先は?

学習者数やJLPTの受験者数を見ていくと、インドネシアでは日本語は学習機会が多く、始めやすい言語だといえるでしょう。ただ、ある程度極められる人は一部で、そういった方々が選ぶ進路はこのあたりでしょう。

現地日系企業での就業

日本での就業

日本の大学院への進学

私の周囲では現地日系企業で働くというケースが一番多く見られます。次に多いのは大学院への進学や日本での就業ですが数はかなり絞られます。

いずれも日本語専攻や日本への留学経験がある人たちが主で、最初に挙げた学習者の数からいうとほんの一握りです。日本語学科を卒業しても日本語を使わない仕事へ就く方ももちろん多く居ます。

学習者の中には日本語レベルはそこまで高くなくとも他の専門性をもった人がいます。全ての仕事をカバーできるわけではないですが、特定の分野に精通している人たちであれば共通用語が多くあります。

カバーしきれない部分は通訳など言語のプロやツールに頼ることもひとつです。実際にシステム開発会社で日本人エンジニアとインドネシア人エンジニアの間で通訳を行ったこともありますが、専門用語は通訳が無くともきちんと意思疎通が出来ていました。

公教育に日本語学習の機会があるという日本の優位性を十分に活かしているか?

公教育で日本語学習の機会があるということは、日本にとって非常に大きなアドバンテージと言って間違いないでしょう。一方で、この優位性を十分に活かしているかといえば、疑問符がつきます。

例えば、日本語能力試験に偏った人選は、その最たるものでしょう。お話しした通り、インドネシアは非漢字圏であるにもかかわらず世界で2番目に日本語を学ぶ人が多い国ですが、国籍別就業者の数でいうとトップ5にも入りません。その一つの理由に、日本語能力試験N1合格を当たり前に求める採用思想があると私は思います。

現実には、業務内容によって求められる日本語レベルは様々かと思いますので、どんな場面で・どんな業務で・誰と何をやってもらいたいのか?などを棚卸しすることで、採用する外国人材に必要な日本語力を整理してみてはいかがでしょうか。

日本で働く・生活する上で日本語が流暢であることはもちろん素晴らしいことですが、日本語能力のみにこだわらず優秀な人材が活躍できる環境が増えることを願っています!

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