外国人採用の注意点は?

前回の記事では「外国人採用の問題点(言語の壁・文化の壁・手続きの壁)」について取り上げました。今回はそれらトラブルを防ぐための注意点とは?どうすれば防止できるのか?その解決方法や工夫についてご紹介したいと思います。

言語に関わるトラブル防止策

まず前提として、非ネイティブがネイティブと同じレベルで言語が扱えることは無いと理解しましょう。入社した外国人社員に日本語学習の機会を付与することは素晴らしいことですが、そのトレーニングの先に完璧な日本語話者の姿はありません。

この基本にたって解決策を考えると、2つ取り組みやすい方策が浮かびます。1つは、言語以外の方法で効果的な意思疎通を図ること、もう1つはネイティブ側が非ネイティブ側の言語レベルにあわせて会話することです。

言語以外の方法で効果的な意思疎通を図る工夫としては『質問カード』があります。黄色や赤など、外国人社員に目立つ色のカードを一枚もたせる、これだけです。どう使うかと言うと、質問があるときにそのカードを掲げてもらい、それを見た周りの社員がサポートに動くのです

「いや、質問があるなら聞けばいいのでは?」

このように考える人も多いでしょう。ネイティブは言語面の不安がないので、そのような解決策が効果的で早いと考えます。ただ、非ネイティブからすると自ら声をかけて他の社員の手をとめ、自分に注意を払ってもらうのは結構勇気のいることです。その点、『質問カード』であれば掲げるだけで声をかけてもらえる仕組みなので、安心して利用することができます。疑問を放置したまま業務に取り組むことも避けられるので、当然仕事のミスも減ります。

もう1つの言語レベルをネイティブ側が非ネイティブ側にあわせるというのは、最近話題にもなりつつある『やさしい日本語』がイメージしやすいでしょう。使用する単語や表現を日常的で平易なものに置き換えたり、一つ一つの文章を短くしたりなどの工夫があります。文章で伝わらなかったときは重要な部分だけ言うとか、同じことを何度か繰り返して伝えるというのもあります。使用する日本人側のトレーニングが多少必要なので、非言語コミュニケーションよりは導入の難易度は上がるかもしれません。

明確なコミュニケーション

誤解を生みにくいコミュニケーションを意識し、時折ジェスチャーを交えて伝えたり、絶対に間違えてほしくない重要なことを伝える場合は、紙に英語で書いて説明するというのも有効な手段の一つだと思います。そうした工夫をすることで外国人社員も、日本人社員が「自分の立場に寄り添って、一生懸命伝えようとしてくれているんだ!」と思うことができ、日本人社員への信頼度と組織への帰属意識も向上します。

文化の違いによるトラブル防止策

「文化の壁」をこえるために大切なことは、外国人社員の文化について知ろうとすることです。初歩的なことでも、断片的な知識でもいいので、とにかく相手に興味を持つことからはじまります。

例えば、日本人にはあまり馴染みがないであろうイスラーム教について、『ハラルフード』という単語は耳にしたことがあるのではないでしょうか?また、「毎日お祈りをしなければならないみたいだ」とか「毎年1ヶ月ほど断食をする」など断片的に知っていることは意外に多いです。ここから1歩だけ外国人社員に近づく努力をしましょう。

例えば、一緒にランチをしているときに「『フード』はわかるんだけど、『ハラル』って何?」と質問をしたり、断食の話を聞いたりするのです。食事しながらなので話題も振りやすいでしょう。自分に関心を持ってくれているというのは基本的に嬉しいものです。心理的な安心を外国人社員に与えることができ、結果的にお互いの理解が深まります。

この話をすると、「相手に失礼なことを言ってしまったり、してしまったりしないか心配・・・」という声がときどき聞かれます。はい、言ってしまうし、してしまいます。異文化コミュニケーションはいくつもの摩擦と衝突を乗り越えて成熟するものなので、それは仕方のないことです。むしろ、そのような中身のある異文化交流を避けて、形だけ配慮しているような”ダイバーシティ”とか”グローバル”の方が問題でしょう。

外国人社員と働く場合には、事前に各種ルールについて同意を取るというのもトラブル回避の方法のひとつです。

「ルールがあれば、それに従う」

日本人にとっては、全く違和感のない当たり前のことでも、目の前の外国人社員にとってはそうではないかもしれません。批判的思考に長けた人、合理主義な人、現状を変えたがる変革者にとっては、「何でそんなルールがあるの?」という疑問は当たり前に生まれます。そして、疑いを持ったまま、それに従えというのはかなり難しい注文です。

ルールが存在することを伝えるだけでなく、なぜそのルールが運用されているのか理由も示しましょう。その理由に疑問があるなら質疑応答で解消し、合意を形成しましょう。ルールは皆が守って初めて意味をなしますので、社員一人ひとりを当事者として内包していく努力が求められます。

心配事を抱える外国人社員

必要に応じて日本語だけでなく多言語でマニュアルを作成することもオススメです。また、もしも不都合があれば、いつでもルールを見直せる環境作りも大切です。希望通りにはルールが変わらなかったとしても、組織に自分の意見が伝わったという事実が重要です。「不都合があっても言えない」という職場だと、こっそり転職活動を始めて転職してしまう人も少なくないでしょう。

母国から離れ、外国の地で働くことは、想像以上に本当に大変なことです。彼らから業務上の質問や意見をもらった時は、「郷に入っては郷に従え」と価値観を押し付けるのではなく、しっかりと向き合うことで信頼構築、離職率の低下に繋がります。

手続き上のトラブル防止策

基本的に、外国人は日本に入ることも生活することもできません。何か特定の目的があり、日本にとっても入国・在留してもらうことがメリットになる場合にはじめて許可されます。在留資格とはざっくり言うとそういう許可です。

日本の在留資格のうち、日本で働くことができる種類のものをいわゆる”就労ビザ”と言うのですが、外国人社員を雇用する場合これを取得する必要があります。そして、就労ビザの取得のためには、採用される外国人と採用企業側双方がビザの申請用書類を用意する必要があります。従って、採用企業側も制度や必要な手続きを理解することが大切です。

慣れてしまえば、そこまで難しい手続きではないものの、初めて外国人を採用する企業にとっては不安があると思います。また、各種書類を用意するにはそれなりに時間と手間がかかるので、企業には負担となります。

行政書士など専門家による就労ビザ申請代行サービスもあるので、面倒であればこのような代行サービスを活用するのもひとつだと思います。ただ、外国人雇用にある程度真剣に取り組もうとしているのであれば、自社でやることを強くおすすめします。

雇用するからには活躍してほしいでしょうし、活躍する人には長く働いてほしいと当然期待するでしょう。そう願うなら、在留資格面でしっかりサポートできる体制は必要不可欠です。我々が外国人留学生や転職希望者の求職面談をしていても「この会社はビザサポートがありますか?」とよく聞かれます。彼らにとっては日本に残れなくなるかもしれないという恐怖があるので、非常に高い関心事なのです。

たくさんある在留資格の中でも、実際に関係するのは3〜5種類程度です。学習コストはそこまで高くないので、ある程度のことは会社自身で対応できるようにした方が外国人社員にとって魅力的な職場となるでしょう。

在留資格の難しい部分は、専門家に任せましょう。例えば、この記事で取り上げている「雇用理由書」の作成など
専門学校に通う留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」変更申請、成功の鍵は雇用理由書にあり

小さな一歩を続けよう

いかがでしたでしょうか?採用企業側が伝え方の方法を少し変えたり、ちょっと工夫するだけで、外国人社員との働きやすさや心の距離は大きく変わるものです。「外国人社員を採用するのは大変そう。。。」と思われるかもしれませんが、その分外国人を採用することで見えてくるメリットもたくさんあります。以前外国人材採用についてのメリットと、その実例についても記事を投稿していますので、是非ご覧下さい。

正直なところ、全ての会社様に外国人雇用が合っているわけではありません。自社で導入するかご検討のために、メリットをまとめました。
外国人採用のメリットとは?

人材獲得難で苦しむ北陸のメーカーが、日本語のできる理系大卒を15名採用・戦力化できたその秘密とは?

資料をダウンロードする

関連記事

ご相談・お問い合わせ ページ上部へ戻る