ミスコミュニケーションを生んでしまう2つの要因とその回避策

実体験!予想外なミスコミュニケーション

ミスコミュニケーションは、どんな人にも発生します。同じ言語、文化を共有していてもなお起こります。今日は、私が過去に経験した予想外だったミスコミュニケーションの事例を一つご紹介します。

それは私がまだ通訳ガイドになりたてだった頃の話で、若い世代20名の募集型グループツアーに通訳ガイドとしてアテンドしたときの出来事です。

ツアー初日、私は宿泊するホテルロビーで参加者と顔を合わせウェルカムミーティングをしたのち、みんなで夕食を一緒にレストランで食べる予定でした。

ミーティング後、再集合のためホテルの部屋からエレベーターに乗ると偶然、ツアーの参加者の一人の女性と一緒になったのです。その女性が顔合わせの時とは違う格好に着替え、とても色鮮やかな素敵なドレス(おそらくワンピース)を着ていたので、つい「You look nice on that dress」と言ってしまいました。これが、のちに誤解されることになる軽率なコメントだったのです。

どうなったかというと、それ以来その女性から(恋愛対象として)熱烈なアプローチを受けることになりました。

アテンドする私の役割として、ツアー中に参加者の心配事や相談に個別で乗ることがあります。それは彼らの母語が通じない異国にいるということに慣れておらず悩む人も中にはいるからです。

ですので、彼女から「話したいことがあるから個人的に話せない?」とメッセージが来た時もその類いの相談事かと思い、直接会って話を聞いてみると、「私のことどう思っているの?」というストレートな告白でした。

いきなりの話に驚きつつも、一人のゲストであること以外には特別な感情はないということをきっぱりでも丁寧に伝えて丁重にお断りしました。

事の発端は、あのエレベーターの中で私が言ってしまった一言で誤解をさせてしまったわけです。エレベーターで顔見知りの人とばったり乗り合わせてしまい、無言でいるわけにもいかず、その場しのぎ的に会話をするという経験をしたことはありませんか?オフィスビル等で働く人はよくあるような気がします。

私はあの一言にそれほど深い意味を込めたわけではなく、ただ素敵なドレスを褒めたつもりでしたが、彼女にはそのドレスを来た自分を褒めてくれたと思ったようなのです。まさにミスコミュニケーションですね。

なぜ外国人との間でミスコミュニケーションが生じるのか?

大前提として、我々日本人同士が日本語でコミュニケーションをしていても誤解をしたり、あるいはされたりすることはあるので、自分の母語ではない言語を使ってコミュニケーションを取る場合、なおさらミスコミュニケーションはつきものです。

私は、ミスコミュニケーションが起こり得る要因は大きく分けて二つに分類できるかと思っています。

一つは、会話の際の自分の発音や語彙、あるいは抑揚など技術的な要因、直接的な要因で起こるミスコミュニケーションです。

何かを説明したときに音が似たような単語が正しくクリアに発音できなかったり、同じような意味を持つ単語のチョイスを誤用したりすることで相手に自分の意図しない形で伝わってしまうことがあります。

ただ、こういった要因で生じるミスコミュニケーションは、比較的その場で気付きやすいものですので、仮に生じたとしてもそれほど深刻な問題にはなりません。

もう一つは、コミュニケーションする相手への思いやりや相手の持つ前提(文化や知識レベル等)への理解などが不十分なことで起こる、いわば間接的な要因です。

例えば、動物愛護に関心の高い相手に対して、捕鯨や鯨の食文化について過度に話をしてしまうと、相手が不快に感じる可能性がありますよね。

この要因で起こりうるミスコミュニケーションは、誤解に気がつくのが意外と難しく、こちらがどれだけ気をつけて話をしていても、相手の受け取り次第で誤解を与えてしまうこともあるのが厄介なところです。冒頭で出したケースもまさにこちらの要因から生じたミスコミュニケーションといえるかと思います。

ミスコミュニケーションが生じてしまったときの対処法

もしミスコミュニケーションが生じてしまったら、まずそれがその後どのくらい深刻な問題につながるかを把握しておくことが大切です。そのうえで、ミスコミュニケーションの要因の分類によって対処方法は異なってくるかと思います。

技術的な部分が原因で起きたミスコミュニケーションの場合、相手が誤解したことにすぐに気がつけば、その場で誤解を解けば済むことですので、それほど心配する必要はありません。

例えば、ツアー中に英語で集合時間は10時15分と言ったつもりが10時50分と勘違いされてしまった場合はすぐに修正すれば良いわけです。

仮にその誤解に気がつかず、その後バスに乗る予定だったのに乗り遅れてしまったなどであればそれは少々問題ですが、技術的な部分に起因するミスコミュニケーションは、ある程度パターン化することができ、それゆえ予防策も講じやすいです。

今回の場合だと、”fifteen”と”fifty”の発音が原因になっているので、”one five, or five zero?”という確認方法で避けることができます。指で数字を表して確認する方法でも良いですね。

一方で、間接的な要因から生じたミスコミュニケーションは深刻になりやすいと言えるかもしれません。ミスコミュニケーションによって相手にネガティブな印象を与えてしまい、しかもその事実に自分が気付いていないというのは避けるべき事態です。

ツアーガイドである私にとって、ミスコミュニケーション(誤解)が生じてしまったことに気付くタイミングとして最悪なのはツアー後の参加者からのフィードバックです。

ツアーが終わるまで生じたネガティブな誤解に気が付かず、ツアー中にその誤解を解くためのアクションを一切しなかった時が一番悔やまれます。逆に、もしツアーの途中で気が付いていれば何かしらの対処が講じられるわけです。

具体的な対処方法としては、まずは相手と密なコミュニケーションを図り、誤解の具体的な内容が何なのかを明確にすることで、適切な解決策を探します。場合によっては、ただただ謝罪することしかできないかもしれませんし、金銭的に補償する場合もあるかもしれません。

ちなみに、そもそも自分が誤解が生じていることに気付いていないうちは対処はできてないので、ミスコミュニケーションが起こらないように気を付けるしかありませんね。

ミスコミュニケーションを起こさないためには?

技術的な要因で生じたミスコミュニケーションを防ぐには、情報の伝達方法を一つだけではなく、複数用意することが有効です。

前述した例のように、時間を伝える際にミスコミュニケーションを防ぐ場合には、集合時間を指で示したり紙に書いたりして視覚的に表現する方法もありますし、ゲストに集合時間を言わせて確認するなどの方法が効果的です。

一方で、間接的な要因で起こり得るミスコミュニケーションが起きないようにするには、事前の準備とコミュニケーション中の気遣いが必要です。

好き嫌いが分かれそうなセンシティブなトピックを話す時は、聞いている相手の出身地や職業その他会話の中からトピックへの感触を推測し、前もってダメそうであれば無理してトピックを話さないことや話す内容もできるだけオブラートに包んで話すようリスクヘッジが大切です。

常に自分が発する言葉には責任を持って、その表現を受け取る相手の立場になって言葉のチョイスや言い回し、話す内容に気を遣うようにすることがミスコミュニケーションを確実に防ぐことにつながります。

生じてしまった誤解に気づけるかが大切

生じてしまったネガティブな誤解に気付かないことは深刻だと書きましたが、ではどうすれば誤解に気がつけるでしょうか?

残念ながら、必ず誤解に気がつくウソ発見器ならぬ”誤解発見器”なるものは存在しません。従って、自分の中に”誤解発見力”を養っていくことが求められます。

相手の反応に注意しながら話し、誤解が生じていないかどうかよく観察しましょう。例えば、相手の表情や目線、相槌などを見ていれば誤解が生じたことに気がつくかもしれません。

コミュニケーションは相互関係であり、全ての会話を自分がコントロールできるわけではありませんので、コミュニケーションの中で自分の思惑に反して誤解が生じてしまうことは誰にでもあります。苦い思いや痛みを伴いながらも、「自分だけじゃないんだ」と勇気をもって、たくさんの誤解を乗り越えていく経験が重要です。

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