外国人材との共通の話題を探す–日本と世界のソフトパワーの比較から

多文化コミュニケーションを考える-共通の体験や記憶を持っていない人たち」では、私たち日本人が持っている子ども時代の記憶と、大人になってから来日した外国人が持っている記憶には大きな違いがあることを考察しました。それ故、日本人同士のコミュニケーションで成り立つ「高校生の頃ルーズソックス穿いてたよね」とか「とんねるずの“生ダラ”観てた?」といった会話が、外国人社員とは成り立ちません。

一方、ガンダムやナルトといった日本のアニメ、あるいはサッカー欧州リーグなど、日本人外国人関係なく共有できるコミュニケーション素材もあります。今回は、各国の国境を越えたソフトパワーを比較しながら、外国人社員との共通話題の探し方を考察しましょう。

ビルボードとハリウッド

アメリカ文化が世界的に受け入れられていることは疑う余地がありません。その中でも音楽の流行の基準となっているビルボードと、世界中で親しまれているハリウッド映画について見てみましょう。

「洋楽」の世界基準 – ビルボード

「洋楽」と聞くと何を思い浮かべるでしょうか?真っ先にビートルズを思い浮かべる世代の方もいれば、最近ではジャスティン・ビーバーやレディー・ガガを思い浮かべる人も多いでしょう。

これらの「洋楽」全てがアメリカ発というわけではありませんが、私たちが「流行っている洋楽」と認識しているものは殆ど、アメリカで最も権威ある音楽チャート「Billboard(ビルボード)」を基準にしています。この基準で「流行っている」とみなされている最新の曲やアーティストは、国に関係なく皆耳にしています。

「音楽好き?」から始まるコミュニケーションで、J-POPやそれぞれの国内でしか流行っていないアーティストの話しをしても、外国出身者との会話を成り立たせるのは難しいかもしれません。一方、「アリアナ・グランデ好き?」や「カニエ・ウエスト好き?」などビルボード常連のアーティストを話題にするなら、共通項を見いだしやすくなります。最近はYouTubeに公式配信が出ていますので、好きなアーティストの曲をスマホですぐに共有できます。コミュニケーションツールが本当に豊かになったと感じますね。

「洋画」の世界基準 – ハリウッド

音楽についてもそうですが、日本では「邦」と「洋」に分けられがちです。「邦楽」「洋楽」、「邦画」「洋画」等々。そしてこの場合の「洋」はほとんどの場合「西洋」、特にアメリカを指します。最近では韓国の「BTS(防弾少年団)」などアジア発のものも「洋」とみなされますが、それも「ビルボードで上位にランクインしている韓流」という意味での「洋」でしょう。

さて、そんな「洋」の中でもひときわ顕著なのが「洋画」、それもハリウッド映画です。実際にハリウッドの制作会社によって作られているかどうかは別として、私たちが目にする「洋画」の多くはアメリカ発、ハリウッド映画とみなされています。

中でも「ターミネーター」や「ミッションインポッシブル」などのアクション映画、「アイアンマン」や「ダークナイト」などのアメリカンコミックを原作としたものは、そのキャラクターと共に世界中で親しまれています。こうした“ハリウッド映画”のタイトルやメインキャラクターは、コミュニケーションに最も使いやすい単語だと言えるでしょう。

実はハリウッドより規模が大きい?- ボリウッド

同じく映画の分野で、実はハリウッドよりも制作本数が多い映画産業がボリウッド(インド映画産業)です。その中心地であるボンベイの「ボ」と「ハリウッド」を文字って作られたのが「ボリウッド」という言葉であり、実際にボリウッドという場所があるわけではありません。

インド国内のみならず、南アジア、中近東、そしてイギリス・カナダ・オーストラリア・アメリカなど南アジア系移民の多い国々で親しまれています。最近では全作をハリウッドで撮影したり、ドバイで高級車を次々と爆破しながらアクション撮影したりと、制作や技術でハリウッドを凌ぐほどの勢いを誇っています。

日本でインド映画と言えば、25年ほど前に公開された「踊るマハラジャ」のイメージが強いかもしれません。相変わらずアクションと踊りが中心であるとはいえ、技術面やストーリー性で言えば当時とは比べ物にならないほどです。

南アジア諸国の若者たちはもちろんハリウッド映画も観ていますが、それ以上に、彼らにとっての映画とはボリウッド映画だということを覚えておく必要があります。いくつかのボリウッド映画や人気のあるボリウッド俳優の名前を知っているだけでも、インドや南アジア出身の人たちと会話を始められるでしょう。

戦略的な世界展開 – K-POPと韓流ドラマ

アジアから出現し、まず日本、そして世界中に拡がっていった一大ソフトパワーがあります。

「韓流」です。

韓流については、日本での受け入れられ方とアジア諸国での受け入れられ方の違いに注目すると、その戦略を興味深く理解することができます。

初めからグローバル市場を目指したK-POP

日本と比較しても国内市場が小さい韓国では、最初のメンバー選定やコンセプト設計の段階から、国内市場ではなく、グローバル市場を目指しています。例えば、女性四人組のBLACKPINKは、「アメリカのHIP HOP的な格好良さを求める若者向けのコンセプトが設定され、楽曲もラップやクールな曲調が多い」と評されています。さらに、「メンバー構成もタイ出身や韓国系オーストラリア人など多様性やグローバル色が際立って」います。*

また、非言語コミュニケーションである高いダンススキルやハイクオリティーなミュージックビデオによって、非韓国語圏の人々でも視覚的に楽しめる工夫が施されているのも特徴的です。更に、早い段階からSNSを通じて世界にパフォーマンスを発信したことも現在のK-POPの人気に繋がったと考えられています。

【参考資料】EVENING編集部「世界を熱狂させる「K-POP」を支える戦略的なマーケティングとは…」

ライフスタイルも輸出した韓流ドラマ

韓流ドラマも、世界展開戦略が成功している顕著な例です。2000年代前半に日本で「冬のソナタ」が大ヒットしたのを皮切りに、まず日本、そして世界中に伝播していきました。
筆者がネパールに滞在していた2011年頃、滞在先のホテルでテレビをつけると、必ず2~3チャンネルは韓流ドラマが放映されていました。それと同時期、ネパール国内では韓国製の家電や自動車が日本製品を駆逐し、更に韓国で美容を習った若者たちが次々に美容サロンを立ち上げていました。これは東南アジアや南アジア各国においても言えることですが、韓流ドラマは韓流のライフスタイルも一緒に輸出したと言えます。

日本では単純にドラマとしてストーリーや時代背景が楽しまれていますが、これが開発途上国になると、ドラマの中に出てくるLGの家電、SAMSUNのテレビ、Hyundaiの車、コスメやヘアスタイルなどが宣伝される効果的な媒体となります。

一方日本の番組を扱うテレビチャンネルもありましたが、放送されていたのは「おしん」や「忍者ハットリくん」でした。日本人の精神性を知ってもらうには良い番組かもしれませんが、「おしん」を見て日本製品を買おうとは思わないでしょう。輸出戦略として、明らかに韓流に押し負けている実態が見て取れます。

アメリカ、インド、韓国のソフトパワー – まとめ

この記事では国境を越えて受け入れられているアメリカ、インド、韓国のソフトパワーについて考察することができました。それぞれが広範囲の国々で受け入れられているため、外国出身者とのコミュニケーションに活用できる素材だと言えるでしょう。更に、各国での受け入れられ方の違いを知っておくなら、話しを拡げやすくなります。

次の記事『外国人材との共通の話題を探す–世界進出した日本のソフトパワーから』では、日本のソフトパワーの拡大と、外国人社員との共通の話題の見つけ方を考えましょう。

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