日本人なのに英語が出来るの?すごいね!
日本人は英語が出来ない人多いよね
海外に行ったり日本に来た外国人と話したり、そういった場面で幾度か耳にした言葉です。大学時代の留学まで「外国人から見た日本人」のイメージが無かった私には衝撃的でした。お世辞だったかもしれませんが褒められたのは素直に嬉しかったです。
しかし、その言葉を繰り返し聞くほど感じたのは「日本人は英語が苦手って本当…?」という疑問です。
持論ですが、本当は出来るのに使う機会が少ない。かつ「出来る」のハードルを高くしすぎているために「日本人は英語が苦手」というイメージが日本人の間でも外国人の間でも広がっているのでは、と思います。なぜそう思うのか、データや個人の経験を基に今回はお伝えしていきます。
データから見る日本人の英語能力
日本人の英語習得について、日本語と英語が言語として構造や文法が違いすぎるという説もあります。日本語の難しさや日本人の英語能力をデータを基に見ていきましょう。
The Foreign Service Institute (FSI) がまとめたLanguage Difficulty Ranking(言語の難易度ランキング)では、英語を母語とする人が他言語を習得する際の難易度をまとめています。
カテゴリ1 | 23-24週間 575-600時間で習得 |
デンマーク語、オランダ語、フランス語、イタリア語、ノルウェー語、ポルトガル語、ルーマニア語、スペイン語、スウェーデン語 |
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カテゴリ2 | 30週間 750時間で習得 |
ドイツ語 |
カテゴリ3 | 36週間 900時間で習得 |
インドネシア語、マレー語、スワヒリ語 |
カテゴリ4 | 44週間 1100時間で習得 |
アルバニア語、アルメニア語、ベンガル語、ブルガリア語、ビルマ語、クロアチア語、チェコ語、エストニア語、フィンランド語、ギリシャ語、ヘブライ語、ヒンディー語、アイスランド語、クメール語、ラオス語、ラトビア語、リトアニア語、マケドニア語、モンゴル語、ネパール語、ペルシャ語、ポーランド語、ロシア語、シンハラ語、スロバキア語、スロベニア語、タイ語、トルコ語、ウクライナ語、ウルドゥー語、ウズベク語、ベトナム語 |
カテゴリ5 | 88週間 2200時間で習得 |
アラビア語、中国語、日本語、韓国語 |
日本語は中国語や韓国語と並んで、学習時間が一番長く必要な言語に区分されています。しかし、国別の英語能力を見ると中国や韓国の平均は日本を上回っています。
2022年にイー・エフ・エデュケーション・ファースト(EF)が発表した「EF EPI英語能力指数」によると、日本は112カ国・地域中80位と「低い」カテゴリに入っています。ちなみにお隣の韓国は36位と「標準的」なグループに入っています。
EF EPI英語能力指数ー2022年 | TOEIC L&R国別平均スコアー2021年 | |
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フィリピン | 22位 | 793点 |
マレーシア | 24位 | 681点 |
韓国 | 36位 | 679点 |
中国 | 62位 | 547点 |
ベトナム | 60位 | 531点 |
日本 | 80位 | 574点 |
インドネシア | 81位 | 480点 |
タイ | 97位 | 511点 |
フィリピンでは英語が公用語、マレーシアでは準公用語なので、スコアが高いのは納得ですよね。インドネシアはどちらの指標でも日本を下回っています。しかし、インドネシアに来て「インドネシア人、英語上手だよね」と驚く日本人はとても多いのです。
「出来る」のハードルが高すぎる?
「日本人は英語が苦手」とイメージがついているひとつの理由は、「出来る」のハードルを上げすぎているからだと思います。
極端な話をすると「ありがとう」「こんにちは」しか話せなくても「日本語を話せる」と自信満々に語る人が世界にたくさんいる一方で、日本人は「ネイティブのように綺麗に話せる」「ビジネスで使える」「良い点数・資格をとっている」などといった、とても高いレベルじゃなければ「出来る」と名乗らないような気がします。
私は環境や運に恵まれ、日本語・英語・インドネシア語を使いながら仕事をしていますが、決して自分の英語もインドネシア語も完璧なものではありません。何度も聞き直したり、相手に伝わらずに言い直したり、電話で話してそのあとに念のためにチャットでも確認したり、こういったことは日常茶飯事です。それでも、どうにか仕事はこなしているので、「英語が話せる」と自称しています。
しかし、日本を出て海外で働く経験をしていなかったら、同じくらいの英語力を持っていたとしても「英語は話せない」と言っていたでしょう。結局は、実戦で使ったことがないために勝手に自分でできないと思い込んでしまっているのです。
「完璧じゃなくて良い」だから「完璧を求めなくても良い」
今後、日本でも帰国子女や留学経験者などに限らず「外国人と仕事をする」「英語を使って仕事をする」ことがこれまで以上に当たり前のことになってくるかもしれません。労働人口が減り、政府としても外国人人材の雇用を歓迎しているなか、色んなバックグラウンドを持った方と共に仕事をする機会は今後必ず増えてくるでしょう。
業種や職種によっては完璧な日本語もしくは英語を使って業務をすることが必要かもしれません。しかし大半の場合、あくまで言語はコミュニケーションの手段であって業務が進めば問題が無いはずです。
ネイティブではない私達が英語を完璧に使いこなさなくても業務は進みます。同じように外国人人材の方が完璧な日本語でなくても進む業務も多くあるはずです。言語に限らず色々な仕事をする上で「完璧じゃなくて良い」だから「完璧を求めなくても良い」と自分に言い聞かせるようにしています。外国人人材との働き方等を考えている方の参考になれば幸いです!
学生時代と社会人で二度のインドネシア留学を経て、現在はジャカルタにて日系IT企業の現地法人立ち上げに従事。 日本語・インドネシア語・英語を駆使し、現地のIT人材と日本のIT人材の間のコミュニケーションをサポート。 英語などの非母語での業務、外国人として海外で働いて得た気づきをお伝えします。