グローバル人材に魅力的な国?-日本のジェンダーギャップ指数を読み解く(後編)

この記事の前編では、世界経済フォーラム(World Economic Forum)が公表している『ジェンダーギャップ指数2021』から、「経済」分野における日本のジェンダーギャップと、管理職の女性比率について考察しました。後編では、女性管理職を増やす方法と、「政治」分野における日本のジェンダーギャップについて考えましょう。

女性管理職を増やすには

引き続き、『しゅふJOB総研』が『女性の管理職比率』をテーマに、主婦層を中心とする就労志向の女性(有効回答数705件)に行ったアンケート調査結果を見ていきましょう。

「女性管理職を増やすにはどうすれば良いと思うか」という問いに対しては、複数回答で以下のような結果が得られています。

結婚や出産をしても管理職として続けやすい雰囲気を職場に作る 81.0%

拘束時間ではなく成果で給与を決める仕組みを導入する 45.2%

女性管理職の事例を増やす 42.8%

在宅勤務が認められる業務を増やす 34.0%

女性にもっと責任ある仕事を任せる 27.8%

女性自身がもっと管理職を目指すべき 22.7%

管理職の枠に女性比率などの数値目標を設ける 21.0%

女性自身がもっと高い給与を望むべき 15.2%

突出して多い意見は職場の雰囲気に関するもので、これは女性管理職の比率が少ない理由をそのまま反映させていると言えるでしょう。また②と④を見ると、成果主義の導入や在宅勤務などのフレキシブルな働き方が求められていることもわかります。

長時間労働の「昭和的」な働き方が依然として求められがちな日本企業にとって、よりフレキシブルで成果主義的な考え方への転換が必要であるとも言えるでしょう。

ジェンダーギャップ指数2021-「政治」分野の各項目を分析

再度ジェンダーギャップ指数の分析に戻って、「政治」分野を考えましょう。「政治」分野においては、①国会議員の女性割合(140位、0.110点)、②閣僚の女性割合(126位、0.111点)、③女性国家元首の在位期間(76位、0.000点)を見ていきます。

国会議員の女性割合

この項目は140位、0.110点でした。日本における女性の国会議員の割合は9.9%です。少しずつ増えてきているとは言え、まだ一割しかいないというのが実情です。

因みに、今回の調査対象となっている156ヶ国の合計国会議席数35,500議席に対する女性の割合は26.1%です。世界全体で、依然として女性の国会議員は少ないのが現状ですが、この数値と比較しても、日本の女性議員数はかなり少ないと言えるでしょう。

閣僚の女性割合

この項目は126位、0.111点でした。閣僚のうち女性の割合は10.0%で、国会議員の女性割合とほぼ同じです。

因みに、今回の調査対象となっている156ヶ国の合計閣僚数3,400名に対する女性の割合は22.6%です。こちらもやはり、世界平均と比較して日本の女性閣僚割合は少ないと言えます。

女性国家元首の在位期間

この項目は76位、0.000点でした。近現代日本において女性国家元首は存在しませんので、これは0点となります。

因みに、調査対象となった156ヶ国のうち、女性が国家元首になったことが一度もない国が81ヶ国あります。日本と同じく、半数以上の国では女性国家元首は誕生していません。

「政治」分野でのジェンダーギャップを無くすには?

ここで、「政治」分野におけるジェンダーギャップのうち、国会議員の女性比率について更に考察してみましょう。先ほど見た通り、日本における国会議員の女性比率は9.9%でした。この項目を、2021年10月に行われた第49回衆議院議員総選挙での女性候補者と当選者の数を参考に考察していきましょう。

第49回衆議院議員総選挙の女性立候補者数と当選者数

第49回衆議院議員総選挙の女性立候補者数は186人、全候補者数1,051人の17.7%でした。そして女性当選者数は選挙前よりも2人減って45人、全当選者数の9.7%に後退してしまいました。有名女性議員であった辻元清美氏の落選が大きなニュースになったのは、記憶に新しいかもしれません。

また、党別の当選者に占める女性の割合は自民7.7%、立憲13.5%、維新9.8%、公明12.5%、国民9.1%、共産20.0%で、最大政党であり与党である自民党で、最も比率が低いことがわかります。

そして、立候補者数に占める女性比率(17.7%)よりも当選者数に占める女性比率(9.7%)が大きく下がっています。

2018年には「候補者男女均等法」が成立し、政府としても衆院選の女性候補者の比率を2025年までに35%にすることを目標として掲げています。しかし立候補者を増やすだけで女性の声が政治に届くわけではありません。女性立候補者やその応援者たちには、選挙に当選して、国会議員として政治参加する実力をつけることが求められるでしょう。かたや、社会が女性国会議員の活躍に期待し、応援していく姿勢も大切です。

第49回衆議院議員総選挙の争点であったジェンダー平等

2021年の衆議院選挙は特に、夫婦別姓、同性婚、(LGBTQを含む)ジェンダー平等、多様性などが争点の一つでした。結果としては、ジェンダー平等を強く訴えた野党が伸び悩み、出口調査によれば、比例代表で若者世代が最も多く投票した先は、ジェンダー平等に慎重な姿勢をとる自民党という結果になりました。

ジェンダー平等を訴えた野党の伸び悩みについて大正大学准教授の田中俊之氏は「野党の打ち出し方が悪かった。ジェンダー平等を票につなげるためのアピール方法を間違えた」と指摘し、国民がジェンダー平等に無関心だったという指摘を否定しています(Wikipediaより抜粋)。

こうした点を考えると、国民の間でジェンダー平等などに対する関心は高まっているものの、それが選挙結果に現れるほど大きなうねりにはなっていない、という状態にあることがうかがえます。今後は、社会全体でさらに関心を高めていくとともに、ジェンダー平等を打ち出す政治家が議席を獲得するだけの実力を付ける必要もあるでしょう。

ジェンダーギャップを無くすことが優秀な人材の誘致に繋がる

この記事の前編と後編で、2021年度のジェンダーギャップ指数を基に、「経済」と「政治」分野での日本のジェンダーギャップについて考察しました。

「経済」分野では、社内の風土や雰囲気をより寛容なものにし、また結婚や出産といったライフイベントに合わせた働き方の仕組みを作ることにより、女性の活躍の場を増やしていくことができるでしょう。「政治」分野においても、社会全体でジェンダー平等などに対しさらに関心を寄せる必要があると理解できます。

こうした指数だけで一国の社会を説明することはもちろんできませんが、自らの社会を客観的に捉え、社会全体、そして各企業それぞれの内部でより多様性ある風土を作り出していく良いきっかけとなります。また、そうすることで優秀なグローバル人材にとって魅力的な国(企業)、「あの国で働きたい」と思える国(企業)になっていくことができるでしょう。

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