リモートワークでワークライフバランスは実現できる?【後編】

  • 2023-3-6

リモートワークの現状

前回の記事で見た通り、日本では、2019年から政府が推進している「働き方改革」による労働環境の見直しの中、ワークライフバランスが注目されています。そして、新型コロナウイルス感染症の渦中、リモートワークを導入する企業が増えました。

リモートワークは、通勤時間を削減できるだけでなく、決まった場所で仕事をする必要がなくなるため、上手に時間を調整することによって私的に使う時間を増やすことができると考えられています。そのため、リモートワークの推進は、ワークライフバランスの促進につながると考えられてきました。

それでは、コロナ禍により日本でも加速したリモートワーク導入の状況とその影響を、アメリカ、イギリスというリモートワーク先進国、そしてコロナ禍でリモートワークの導入が急速に進んだドイツと比べて考えてみましょう。

そもそもリモートワークとは?

テレワークとリモートワーク、この2つの言葉がよく使われます。日本ではテレワークという言葉の方が従来から使われてきましたが、コロナ渦でリモートワークという言葉が浸透してきました。

テレワークは、Tele(離れた)とWork(働く)を組み合わせた造語です。

厚生労働省のテレワークサイトによると「情報通信技術(ICT:Information and Communication Technology)を活用した、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」を指します。
参照:厚生労働省『テレワークとは | テレワーク総合ポータルサイト』

つまり、テレワークとはICTを駆使してオフィス外の特定の場所で働く勤務形態です。

一方、リモートワークは、Remote(遠隔)とWork(働く)を組み合わせた造語で、オフィスから離れた遠隔地で働く勤務形態を指し、テレワークのように明確に定義されているわけではありません。そのため、会社以外で働くという意味で、テレワークとリモートワークはほぼ同意語として使われます。

日本のリモートワークの現状

それでは、コロナの影響により日本でリモートワークがどのように進んだか見てみましょう。
内閣府の調査によると、2021年10月現在の全国のテレワーク実施率は32.2%となっています。比較として「コロナ前後のテレワーク実施率の推移」は以下のようになっています。

年月 リモートワーク実施率
2019年12月 10.3%
2020年5月(緊急宣言) 27.7%
2020年12月 21.5%
2021年4-5月(緊急宣言) 30.8%
2021年9-10月 32.2%

出典:内閣府『新型コロナウイルス感染症影響下における生活意識・行動の変化に関する調査』

この推移をみる限り、2020年と2021年の緊急事態宣言をきっかけとして、テレワーク実施率は大きく増加していることがわかります。それでは、一気に普及したテレワークにより、働き方にはどのような影響や効果、問題点があったのでしょうか?

リモートワークの影響や問題点

新型コロナウイルス感染症の予防を目的として推進されたリモートワークが、どのような変化を人々の働き方にもたらしたかを、日本生産性本部がまとめています。
参照:公益財団法人日本生産性本部『第9回働く人の意識に関する調査

働く側の従業員にとって良い効果

この調査結果によると、働く側の従業員に関しては「業務効率」と「勤務満足度の向上」に効果がみられます。

自宅勤務での業務効率

自宅勤務での業務効率に関して、「効率が上がった」「やや上がった」の合計は、2022年1月の調査で63.3%と過去最多を記録しています。

自宅勤務の満足度

自宅勤務の満足度に関して、2022年4月の調査では、「満足している」「どちらかと言えば満足している」の合計が84.4%と過去最多となっています。2020年5月の調査では、在宅勤務に満足している割合が57.0%であったことを考えると、この2年間での満足度は大幅に向上しています。

そして、コロナ禍収束後もテレワークを行いたいと答えた人(「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」の合計)は2022年1月で80.4%となっています。

リモートワークのもたらす格差

従業員にとって、リモートワークは確かに多くのメリットがあります。しかし、実施に際しては障壁が多いことも確かです。実際に、リモートワークの普及から見られる様々な格差が指摘されています。

地域差

全国のリモートワーク実施率は32.2%ですが、東京都だけで見ると55.2%と高く、一方の地方圏は23.5%と首都圏と比べて低い水準になっています。

東京と地方でリモートワーク実施率に大きな差が生まれる原因に「収入格差」があると言われています。つまり、収入が多い、オフィスで働く人にリモートワークで働く人が多いということです。

従業員数

従業員数が増えるにつれて、リモートワークの実施率は高くなっています。内閣府のデータ(2021年10月)では、従業員数2-29人は20.9%、30-299人は26.7%、300-999人は32.4%、1000人以上が46.7%となっています。

産業別

業種別にみたリモートワーク実施率ですが、もっとも高いのは情報通信業の78.1%です。次いで電気やガスなどのインフラ系が45.3%、金融や保険・不動産業が44.5%、製造業は44.1%となっています。リモートワークが導入されやすい業種と、対面で働くことが必要な業種とで明確な差があるとわかります。

リモートワークの問題点

上記のような格差の他にも、リモートワークの問題点として様々な指摘がされています。

  • 社内コミュニケーションの問題(社員同士のコミュニケーション、上司からの指示)
  • 勤怠管理が困難
  • 人事評価が難しい
  • テレワークに適した仕事ではない
  • 従業員間で不平等な扱いとなる(部署の差)
  • データ共有の問題
  • 情報セキュリティーの問題
  • 生産性が低下した

こうして見てみると、従業員側はリモートワーク継続を望んでいる一方、企業側はリモートワークによって生産性が低下するなど様々な問題点があると考えていることがうかがえます。

また企業からの視点では、リモートワークがワークライフバランスによる好影響を与えると納得するに至っていないという現状が見えてきます。

続いてイギリス、アメリカ、ドイツとの比較

ここまで日本におけるリモートワークの現状について分析しました。

働く人たちの満足度は高いスコアを付けているものの、地域や職種による格差や企業側が懸念する問題点も多くあることがわかります。コロナ禍の終息や5類移行に伴って、リモートワークから従来の出勤型勤務に戻す企業も多くあります。

続いて、リモートワーク先進国であるイギリスとアメリカ、そしてワークライフバランスが比較的実現されているドイツと比べて考えてみましょう。

日本と諸外国のリモートワークの導入率を比較

厚生労働省のテレワーク総合ポータルサイトに、コロナ禍以前の主要国のリモートワーク導入状況が報告されています。

アメリカで85%、イギリスで38.2%、ドイツで21.9%、フランスで14%とされています。この調査では、日本は19.1%となっており、ドイツより若干低い程度ですが、アメリカやイギリスに比べるとかなり低い状況でした。

しかし、コロナ渦の影響で、リモートワークを実施する企業が世界中で急増しました。それでは、それぞれの国でのリモートワークの現状について見ていきましょう。

リモートワーク発祥の国 – アメリカ

リモートワーク発祥地であるアメリカは、今でも世界で最もリモートワークが普及している国です。

リモートワークは、1973年にNASAの通信システムを構築するアメリカの物理学者Jack Nillesが、仕事を自宅から行なう自身の勤務体制を「テレコミューティング(telecommuting)」と表現したのが始まりです。その後オイルショックや大気汚染などの深刻な環境問題を改善するため、エネルギー使用量の少ないテレワークに注目が集まり、政府関係者の間でリモートワークが行われました。

実際にリモートワークが普及し始めたのは、パソコン普及率が上がった1980年代以降です。

また、1989年のサンフランコ地震、1994年のノースリッジ地震という、大規模な震災が起こり、災害時のリスクを分散させるため、リモートワークが注目されました。

そして、2001年9月11日の同時多発テロ事件以降は、災害・テロの危機管理対策としてもリモートワークが一層重視されるようになります。

2010年には「テレワーク強化法」という法律が制定され、リモートワークがアメリカで本格的に普及しました。アメリカ連邦政府はすべての職員に対してリモートワークを推奨し、また企業においてもワークライフバランスの実現やコスト削減のために、経営戦略の一つとしてリモートワークを実施するようになりました。

アメリカでリモートワークの普及率があがった理由は、官民問わず自分の仕事の範囲が明確なジョブ型での雇用が中心で、リモートワークが普及しやすい労働環境であるからだと言われています。

調査企業Gallupの調査によると、2020年3月時点で、新型コロナウイルスによる自宅待機命令でアメリカ全従業員に対してのフル・リモートワーク率は全従業員の62%に達していたとされています。

ヨーロッパでもっともリモートワークが普及している国 – イギリス

ヨーロッパの中で、リモートワーク普及率が最も高いのはイギリスです。

イギリスでの普及のきっかけは、2012年のロンドンオリンピックでした。開催中、市内の交通量を減らす目的で政府がリモートワークを推進したのです。

また、特に首都のロンドンで、鉄道、地下鉄やバスなど公共交通機関の老朽化や、移民増加による不動産の高騰などが社会問題になっていく中で郊外に移り住む人が増え、リモートワークは理想的な働き方として受け入れられるようになりました。

そして、イギリスではコロナ禍による大規模なロックダウンが施行されたため、リモートワーク化が更に加速しました。
2020年4月には、リモートワーク普及率が46.6%に達しています。
出典:イギリス国家統計局 “Coronavirus and homeworking in the UK: April 2020”

ワークライフバランスの評価が高い国 – ドイツ

ドイツは、2003年に始まった労働市場の構造改革の中で、ワークライフバランスの実現が国全体の力を高めるとして、フレキシブルワークを推進してきました。

しかしその一方で、短時間でノルマをこなすという必要もあり、バーンアウト(バーンアウト症候群:燃え尽き症候群)する人が増え、これが社会問題となりました。

労働時間に法律で厳しい上限規制をかけられたドイツでは、裏を返せば終業時間や休暇までにノルマをこなさなくてはいけないため、家に仕事を持ち帰ることとなります。このように仕事を自宅に持ち帰る人にはバーンアウトの傾向が強く見られたのです。

更に、デジタル化によって自宅で仕事をするケースが増え、仕事と私生活の区別がつかない人も出てきました。仕事を掛け持ちするケースも増えているという分析もあります。

このような結果を踏まえて、ドイツの経営者はリモートワークが逆に長時間労働を引き起こし、社員のメンタルにも悪い影響を与えていると考えました。また、仕事の生産性が下がるという意見も多く、導入には消極的な姿勢を示すようになりました。

しかし、そのような状況の中でもコロナ禍によるロックダウンによって、リモートワークを導入する企業が急増しました。

ドイツ人事労務協会とフラウンホーファー労働経済・組織研究所が2020年5月に行った調査によると、リモートワークを実施した企業は70%にものぼっています。
出典:新潮社 Foresight『「テレワーク小国」から急脱皮:ドイツ企業と働く人が見つけた「大きな可能性」

日本と諸外国のリモートワーク普及状況のまとめ

この記事では、アメリカ、イギリス、ドイツのリモートワークの歴史と普及状況を見てきました。また、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い各国で実施されたコロナ対策の中、リモートワークの導入が各国で加速した様子もみてきました。

どの国においても、それぞれの働き方に対する考え方やパソコン普及率、社会環境の変化など様々な要因を背景としてリモートワークが広まっていきました。そして、2020年のコロナ禍に伴うロックダウンにより、リモートワークの普及は大きな転換点を迎えたことがわかります。

では、コロナ禍を背景に一気にリモートワークが普及した日本では、これが継続した勤務形態となり、ワークライフバランスを実現することとなり、更に政府が推進してきた働き方改革につながるのでしょうか?

各国のコロナ後の動向と比較して、今後の日本のリモートワークの普及と定着、そしてワークライフバランスへの影響を見ていきましょう。

コロナ後の各国のリモートワークの状況

コロナ後の各国のリモートワークの状況は様々です。ここでも、アメリカ、イギリス、ドイツの状況をそれぞれ見ていきましょう。

アメリカ

元々リモートワークが普及していたアメリカでは、コロナ後もリモートワークを継続していく企業が多いと考えられています。

しかし、注目すべき状況は、フェイスブックなどのIT業界を中心に『完全』リモートワークか『部分的』リモートワークかを選べる企業が増えている反面、YAHOO!やIBMなど一部の企業では、リモートワークを廃止しオフィスへ社員を呼び戻す風潮も起こっています。グーグルも2022年4月からリモートワーク期間を終了し、週3日以上の出勤を促しています。

このようにリモート離れする理由としては、リモートワークによる社内コミュニケーション不足や生産性の低下、社員のメンタルヘルスの悪化、労働時間の管理がうまく行かない等の問題が生じたことによるものと分析されています。

ここでいくつかの調査結果を見てみましょう。

アメリカのマイクロソフトは、従業員約60,000人を調査した研究論文を2021年9月に発表しています。その論文では、「全社的なテレワークが従業員同士のコミュニケーションに悪い影響を及ぼし、その生産性と長期的なイノベーションを脅かしている」という結果を報告しています。

そして解決策として、マイクロソフトは『ハイブリッドワーク』を提言しています。

ハイブリッドワークとは、オフィス勤務とリモートワークを組み合わせたワークスタイルです。

「パンデミックが終わった後も、ハイブリッドワークは続く可能性が高い。ハイブリッドワークに関する企業のポリシーが従業員の相互協力の方法にどう影響するかを理解することは非常に重要だ。」
出典:Microsoft『リモートワークの影響を約6万人の従業員で調査した研究論文発』

また、2020年5月のCNBCの働き手幸福度の調査では、全従業員の61%がリモートワークにより公私のバランスを保つことが難しくなったと感じているという結果がでています。

リモートワークの導入が世界で最も進んだアメリカでは、今後いかにデメリットを取り除き、どのようにリモートワークを利用した新しい働き方が進むのかが模索されています。

イギリス

イギリスでは、現在でも40%弱の企業がリモートワークを推進していると報告されていますが、一方でハイブリッド型勤務が既に主流になっています。
出典:ホームオフィス “Working from Home UK statistics 2022”

イギリス国家統計局よると、ハイブリッド型勤務をしている労働者の割合は、2022年2月初旬の13%から2022年5月には24%に上昇しています。
在宅勤務していた従業員の85%は、将来的に在宅勤務とオフィス勤務の「ハイブリッド」型勤務を希望しているという統計もでています。
出典:”Is hybrid working here to stay?”

2022年2月のイギリス国家統計局によると、リモート勤務及びハイブリッド勤務をしている人の4分の3以上 (78%) が「ワークライフバランスが改善された」と回答しており、さらに「作業を完了するのが早くなり (52%)」、「気を散らすものが少ない (53%)」 と回答しています。 またほぼ半数の人が、「健康状態が改善した」と報告しています (47%)。
出典:”Is hybrid working here to stay?”

イギリスの人事プロフェッショナル団体であるCIPD(The Chartered Institute of Personnel and Development)によると、2022年6月時点で、雇用主の4分の3がハイブリッド勤務を提供し、ハイブリッド型がイギリスの主流となっていると報告しています。

また、BBCで報告されている調査によると、ハイブリッドワークの会社の中で「金曜日を出勤日とする労働者は13%のみ」という興味深い結果が報告されています。金曜日に出勤しないことで、週末のプライベートの時間を長くとることができるという傾向です。
出典:BBC “News Why more poeple are working from home on Friday”)

イギリスの雇用主の間では、ハイブリッドワークを取り入れることでフレキシブルなワークスタイルを実現でき、良い人材の離職率が減り、生産性も向上できると考えられているようです。

ドイツ

コロナ禍におけるリモートワークは、ドイツでは経営者、労働者とも利益となるWIN-WINという結果がでています。

従業員側は、リモートワークによりワークライフバランスが改善され、仕事の効率も良くなるので、満足度が高いという調査結果がでています。また経営者側も、業務がスムーズに進み、売上高、収益性、生産性が減らない、そしてコスト削減となったという意見が大半となり、「コロナ禍によりリモートワークが秘める大きな可能性を発見した」とリモートワークを歓迎するようになっています。

その結果ドイツでは、将来コロナ禍が過ぎ去った後もリモートワークが通常の勤務形態の一部として定着する、という見方が有力です。

そのため、リモートワーク普及に伴い、ドイツ政府は2021年に「テレワーク政令」を施行しました。これは、業務上の制約がないリモートワークが可能な被雇用者に対し、企業側にリモートワークを許可するよう義務付ける法律です。ドイツでは、国をあげてリモートワークを更に推進する動きがでています。
出典:新潮社 Foresight『「テレワーク小国」から急脱皮:ドイツ企業と働く人が見つけた「大きな可能性」

リモートワークによって生産性は向上するのか

経営者側として、リモートワークを継続するかどうかの疑問点は、リモートワークによって本当に生産性があがるのかが大きなポイントとなります。一つの興味深い調査結果を見てみましょう。

2020年5月に中国のPCメーカーのレノボが、「テクノロジーと働き方の進化」という調査を世界10か国(日本、米国、ブラジル、メキシコ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、中国、インド)で企業・団体の従業員・職員20,262人を対象に実施し公表しています。

「オフィス勤務よりも在宅勤務のほうが、生産性は高まる」と回答したのは、全体平均で63%です。反対に「テレワークによって生産性が低下した」という回答の割合の10カ国平均は13%でした。

しかし、日本の結果だけをみると「テレワークによって生産性が低下した」と答えた割合が40%と、世界で最も高い割合となっています。

日本で在宅勤務の生産性が低い理由として「自らの勤務先企業がテクノロジーに十分な投資を行っていない」ことを67%の人が挙げ、また「同僚とのコミュニケーションに差し障りを感じる」と回答した人が51%にのぼっています。
出典:New Lenovo Research: People are Working More by Not Going to Work, but Worry about Home Tech, Data Security and Personal Costs

このレノボの調査と同様、リモートワークの生産性への影響の調査は、あくまでも従業員側の回答を収集したもので、企業が提示した客観的な生産性変化の数字ではありませんが、ワークライフバランスへの影響の目安となります。

ワークライフバランスを実現するにはハイブリッド型が効果的?

リモートワークは、コロナ渦を背景として各国で急速に導入されましたが、各国のコロナ前と後のリモートワーク普及状況は様々です。世界一リモートワークが推進されているアメリカでは、通勤に戻る動きの会社もでてきています。イギリスではハイブリッド型勤務の推進が主流となり、ドイツはリモートワーク化が更に進む模様です。

それでは、リモートワークの導入は日本で今後どうなるのでしょうか?

各国の結果から分かることは、政府が働き方改革の中で期待していたように、リモートワークの導入でレジャーやプライベートに費やす時間が大きく増えるわけでも、長時間労働が減るわけでもないことがわかります。また、リモートワークが導入されている産業には差があり、更に導入に関して地域差や収入格差もみられます。

しかしその一方で、リモートワークをなんらかの形で継続したいという従業員の希望は各国とも高い割合を占めています。

こうしたことを総合して考えると、ハイブリッド型勤務が経営者そして従業員のWIN-WINの働き方として浮かび上がってきます。ハイブリッド型は、リモートワークとフレキシブルワークの勤務形態を合わせた新しいワークスタイルと言えるものです。

この勤務形態にすることで、リモートワークのデメリットの大部分を補うことができ、また従業員の勤労意欲も維持できます。リモートワークで長時間勤務が減少するということはないようですが、長時間労働はワークライフバランス実現の観点からみて、従業員にとっては必ずしも大切な点ではなく、むしろフレキシブルワークがより重要な要素となっていることが見えてきました。

更に文化的背景から考えると、日本は対面での対人関係を大切しますので、リモートワークのみではデメリットが大きいと感じている経営者そして従業員が多いようです。

そのような背景を持つ日本では、イギリスが先行して導入している、リモートワークとオフィス勤務のバランスをとったフレキシブルな働き方であるハイブリッド型の勤務を進めることが、コロナ後の新しい働き方として適切となるのではないでしょうか?

ハイブリッド型勤務を推進することで、日本でも働き方改革が意図するワークライフバランスを実現されていく可能性に期待が膨らみます。

20年以上世界4大会計事務所の1つアーンストアンドヤング(EY)のジャカルタ事務所のエグゼキュティブダイレクターとして、ジャパンデスクを率い、日系企業にアドバイザリーサービスを提供。またジャカルタジャパンクラブで、税務・会計カウンセラー、及び課税委員会の専門員を務め、日系企業の税務問題に関わってきた。現在は日本在住。海外滞在歴は30年、渡航国はアジア、欧州、北米の38か国、480都市以上に及ぶ。 国際基督教大学大学卒。英国マンチェスタービジネススクールでMBA取得。

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