実際にやってみて痛感した海外で働くことの大変さ

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こんにちは!インドネシアで日系企業に勤めています小林です。学生時代に語学留学したのをきっかけに、日本で新卒採用で働いた後にインドネシアに再び来て仕事をしています。

在インドネシア日本国大使館が行った在留邦人数調査によると、インドネシアには約1.7万人の日本人が在留しています(2021年10月当時)。

コロナ前の2017年〜2019年のデータでは約2万人だったことを考えると、今後も2万人弱の人がインドネシアに在留することになるでしょう。一言で「在留邦人」とまとめても勿論理由やステータスは様々です。代表的なのはこのあたりでしょうか。

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海外在留邦人数調査統計より

インドネシアで働いている外国人の方を見ると、インドネシアに来るのが初めてでそのまま仕事している方も多くいらっしゃいます。

留学していた頃の私は「せっかく海外に来ているのに現地の文化や言語を吸収しないなんて勿体ない!」と思っていました。しかし、働き始めてその考え方は少し変わりました。シンプルにいうと「海外で働く」は大変だなと。

今回は自分の経験からの発見をお伝えし、外国人人材を受け入れる際の参考にしていただけたら幸いです!

言語・文化の壁

インドネシア語は世界一易しい言語のひとつと言われており、アルファベット表記且つローマ字読みに近い発音で伝わります。挨拶や買い物などで使う言葉は生活していくうちに慣れるとは言っても、知らない言葉のシャワーを浴びたり伝えたい事が伝わらなかったりはストレスがかかります。

今でも覚えているのが初めての留学の際、最初の10日間ほどは泥のようにぐっすり寝ていました。インドネシア語を全く知らなかったので意味の分からない言葉のシャワーに心身疲れていたのだと思います。

国内で転職や引っ越しをするときでもその土地や会社に適応するためには時間や多少のストレスがかかりますよね。例えば駐在などで同じ会社だとしても現地法人というのは別の組織ですから慣れるまでは気づかぬうちに疲れが溜まることもあるでしょう。

マネジメント

インドネシアでは自国民の雇用を守るために、外国人人材の就労に様々な条件を設けてます。そのため、殆どの外国人の方がマネージャーなどといったポジションで働いています。日系企業で現地チームを日本人が責任者としてまとめているのもその一例です。

日本・日本人間でもマネジメントは簡単では無いかと思いますが、文化や言語が違う中でのマネジメントは更なる難しさがあります。外国人というマイノリティのなかでチームをまとめていく必要があります。自分の場合は積極的にメンバーの意見を聞いたり、日本のメンバーから助けを得ながらコミュニケーションをとったり、ツールを使ってタスク管理をしたりなどの工夫をしています。

マルチタスクが得意・シングルタスクが得意といった傾向も国によってはあるようです。そういった傾向を考慮するなど、チームが能力を発揮できるような体制を整えることがマネジメントの醍醐味かもしれませんが、チャレンジングでストレスもかかってきます。また、管理職で残業が多くプライベートの時間の確保が難しい方のお話もよく伺います。

生活の基盤づくり

駐在員などの場合には、渡航前・駐在中含めて引っ越しなど様々なサポートがあるかと思います。インドネシアでは家具付きの物件が多いのと契約期間が日本よりも柔軟な物件が多いため、日本と比べると引っ越しのハードルは若干低いです。しかし土地勘などがまだない場合には治安や利便性もわからないため、場所選びに時間がかかったりします。

例えば日本で引っ越した場合には電気水道ガス・インターネットの開通、家具の準備など日本人であっても大変なことばかりですよね。「引っ越しの当たり前」を理解していても大変な作業ですから、「引っ越しの当たり前」が違う外国人の方からしたらより大変であることは想像に難くないでしょう。

健康管理

実際の業務や普段の生活などで、意識・無意識に色々なストレスがかかりがちなのが海外生活です。業務を遂行するにも生活を整えるにも健康が第一です。食事や運動の管理、ストレスを溜め込まないようにするなど予防も大切ですが、いざ体調を崩したときに誰か頼れる人がいるのか?通える病院があるか?などは周りでサポートできることかと思います。

「海外で働く」は大なり小なりチャレンジがつきもの

就業前には「せっかく海外に来ているのに現地の文化や言語を吸収しないなんて勿体ない!」と思っていた私ですが、実際に業務に取り組んでみると「文化や言語を理解するのはとても大切だけれど、業務が忙しい中で語学学習などをやっている時間を作るのも大変」ということに気が付きました。また、周囲を見ているとそのストレスを自覚してうまく管理できている人もいれば、無自覚で頑張り続けてしまうような人もいます。

在英国日本国大使館のウェブサイトで精神科顧問医の方が述べている「海外在住が及ぼす精神的な影響」を引用します。

海外で、言葉も自由に使えない、慣習も考え方も違う、これまで馴染みのない人で溢れた場所で生活することは、とにかく大変であるということです。そのことを繰り返し自分に語りかけていくことが、とても大切なことです。また、目を自分の外に向ければ、今まで得られなかった新たな機会や新しいものの見方が溢れています。それでも、気分が落ち込んだり、感情の起伏が激しくなり、加えて、不安で眠れず、食欲もなく、考えが全くまとまらず、自分には何も価値がないと、感じるようになったら、専門家に相談してみて下さい。
参考資料:海外在住が及ぼす精神的な影響

日本での外国人人材採用を考えた場合、多くの方が本人の意志で日本での就労を希望する場合が多いでしょう。自分で望んだことなのだから自分で乗り越えてもらうというのもひとつの考え方かもしれません。しかし折角雇用した人が会社へ貢献出来る状態でなければ、採用した意味が半減してしまうのではないのでしょうか。

もちろんどのように外国人人材のサポートをするかは会社によって様々でしょう。例として挙げると、株式会社メルカリでは2017年から海外での採用を推進しており、社員の業務や生活をサポートするプログラム「Mercari Pro Pack」を用意しています。具体的には、ビザ・引っ越し・住民登録など生活に関するサポート、言語学習プログラムや通訳・翻訳チームを用意したコミュニケーションサポートを行っているそうです。
参考資料:「Mercari Pro Pack」について

受け入れる人材の数や会社の規模によって出来ることは様々ですが、他社がどのような取り組みを行っているのか?どういった団体があるのか?どういうサポートがあれば本人がより早く業務で能力を発揮できるのか?など、調べてみてはいかがでしょうか。

学生時代と社会人で二度のインドネシア留学を経て、現在はジャカルタにて日系IT企業の現地法人立ち上げに従事。 日本語・インドネシア語・英語を駆使し、現地のIT人材と日本のIT人材の間のコミュニケーションをサポート。 英語などの非母語での業務、外国人として海外で働いて得た気づきをお伝えします。

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