インドネシア人の採用で知っておくべき現地の給与水準ー最低賃金とデジタル人材

こんにちは、インドネシアで日系企業に勤めています小林です。

大学時代、留学生のサポートや自分自身も留学するなどしてインドネシアと関わり始めて約10年が経とうとしています。インドネシアに関わって数十年という日本人・外国人の方も多くいらっしゃるので上を見るとキリがありませんが、20代という活発に動ける貴重な時間を勢いのあるインドネシアで過ごせていることはとても幸せなことだなと思うようになりました。

例えば、下記のような現象を体験しています。
● 物価や最低賃金などの全体的な上昇
● スマートフォンの普及に伴う様々なサービスの発展
● ユニコーン企業の続出
● 上記に伴う優秀人材引き抜きによる給料の急速な釣り上がり
● ソーシャルメディアを活用したスモールビジネスの発展

もちろんこれらは世界中で起きていることですが、勢いのある国にいるからこそ変化が著しく、それがとても刺激となっています。今回はこの中から「賃金」をピックアップし、インドネシアの状況をお伝えしていきます。

インドネシアの最低賃金ってどれくらい?

JETROがまとめている「インドネシア 外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用」情報をベースに、まずはインドネシアの賃金システムを説明します。

最低賃金

最低賃金はUMR(Upah Minimum Regionalの略)またはUMP(Upah Minimum Provinsiの略)と呼ばれ、州ごとに制定されているものです。1人当たりの平均消費と世帯数・平均世帯人数などと、経済成長率またはインフレ率を基に計算がされ、毎年11月下旬に翌年の分が発表されます。州ごとの最低賃金であるUMRが決まった後、県や市でも最低賃金が発表されます。

下記が実際に2022年に適用されている最低賃金(月給)です。首都であるジャカルタがダントツで高く、物価もその分高いのだとこの数字からも分かりますよね。

ジャカルタ特別州:4,641,854ルピア(約37,500円)

西ジャワ州:1,810,351ルピア(約14,500円)※工場が多くある地域

東ジャワ州:1,891,567ルピア(約15,200円)※第二の都市スラバヤのある地域

バリ州:2,516,971ルピア(約20,200円)

参考:『Cek Lagi, Ini Daftar UMP yang Berlaku di 2022 Usai ‘Dirombak’

なお、一般的には手取り額を提示するのが一般的ですが、こちらの最低賃金では手取り額なのか総支給額なのか等の指定は筆者が調べた限り見つかりませんでした。義務である社会保険・年金・所得税などの費用が含まれるべきか否かは明確にはされていないようです。

最低賃金の推移(過去10年)

それでは近年どのように最低賃金が推移してきたかを見てみます。今回はジャカルタ特別州の過去10年のUMRを並べてみました。

ルピア 日本円換算 前年比
2013 2,200,000 17,652
2014 2,441,000 19,585 +110%
2015 2,700,000 21,664 +110%
2016 3,100,000 24,873 +114%
2017 3,355,750 26,925 +108%
2018 3,648,035 29,271 +108%
2019 3,940,973 31,621 +108%
2020 4,276,349 34,312 +109%
2021 4,416,186 35,434 +103%
2022 4,641,854 37,500 +105%

参考:Upah minimum di Indonesia

新型コロナウイルス流行前は8-10%増、その後も緩やかながら毎年上昇を続けています。2013年と2022年を比べてみるとその差はなんと2.1倍です。ちなみに、2013年の東京の最低賃金(時給)は869円、2021年は1,041円でした。

人口ボーナス期真っ只中で働き手の増加・経済成長率などインドネシアと日本は異なる状況で簡単に比べられるものではありませんが、インドネシアではある程度は毎年給料が上がり続けるというのが当たり前になっています。ショッピングモールやカフェに行っても多くの若者で賑わっていたり、投資関連のサービスの広告が増えてきており、中間層が全体的に豊かになってきているように感じます。

一方でもちろん会社経営者にとっては賃金上昇がひとつの悩みになっているようです。JETROが行った「在インドネシア日系企業の経営環境―日系企業活動実態調査から―」の「各国の経営上の問題点」という設問では「従業員の賃金上昇」が一番多い回答となっています。シンガポール、マレーシア、ベトナム、タイもこの回答が一番になっているので、インドネシアだけの悩みとも言えないようです。

NNAも昇給率を調査しており、昨年は5.1%予測とまとめています。もちろん、それ以上の売上や利益の伸びがあれば両者にとっても良いものですが、賃金上昇が上回っているケースのほうが多いように感じます。
参考:NNAニュース『21年日系昇給率は5.1%予測 域内で最大の下げ

IT人材の給与相場

私自身、IT産業に関わっているということもあり、最低賃金とは別の次元で、ITなどの分野で優秀な人材の急速な給与の釣り上げが起こっているのも感じています。東南アジアでデジタル人材育成事業を行っているGlintsによる調査を見てみました。職種・職位別で給与レンジをまとめています。

デジタルマーケティング職の給与

職位 給与レンジ
Digital Marketing Staff 500~800万ルピア
Digital Marketing Specialist 600~1,000万ルピア
Digital Marketing Manager 1,200~1,800万ルピア

コンテンツマーケティング職の給与

職位 給与レンジ
Contents Marketing Staff 550~800万ルピア
Contents Marketing Specialist 600~1,000万ルピア
Contents Marketing Manager 1,600~2,500万ルピア

営業職の給与

職位 給与レンジ
Sales Associate 800~1,000万ルピア
Sales Supervisor 1,200~1,400万ルピア
Sales Manager 1,500~2,000万ルピア
Sales/Account Executive 1,100~2,000万ルピア
Business Development 600~1,000万ルピア
Business Development Specialist 1,000~1,500万ルピア
Business Development Executive 1,500~3,000万ルピア

参考:『Download E-book Gratis Glints: Laporan Tren & Gaji Pekerja Digital Indonesia 2021

スタッフレベルであればどの職種も1,000万ルピア(約8万円)ほどから雇える人材が見つけられるでしょう。経験や成果によっては3,000万ルピア(約24万円)に上がってきており、日本国内の人件費との差はかなり縮まってきているように見えます。

上記は飽くまで平均的なレンジで、実際に採用活動をしていると特に外資系企業などがこのレンジを超えた高い賃金で優秀な人材を続々と集めています。

個人の成果だけではなく、国全体の経済成長率の高さも相まって賃金上昇が続くインドネシアの状況をまとめました。

「『外国人は賃金が安い』という考えのもと、日本では主に発展途上国から外国人の受け入れを促進する動きがあるようですが、日々世界は変化し、成長しています。日本で外国人の採用を成功させるためには、外から見た日本は今どう映っているのかを知る必要があるでしょう。私のインドネシアからのレポートがその一助となれば幸いです。

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