増加し続ける外国人労働者の現状と在留資格の基本

2019年4月、改正入管法の施行により「特定技能」という外国人労働者受け入れについての新制度が出来上がりました。それからすぐ、新型コロナウイルスの影響で長らく入国制限が実施されました。ようやく少しずつ入国できるようになり、皆さんの周りでも外国人が熱心に働く姿をよく見かけるようになるでしょう。

彼らがいかな過去を背負い、現在どんな立場にあるか、未来に何が待ち受けているか、はたから見る普通の日本人にはまったく理解の及ばないことです。今回はその「はたから見る日本人」の代表であった筆者の目線で、外国人労働者の実態に迫っていこうと思います。

「外国人労働者」人数の推移

実際に今どれくらいの外国人労働者が日本で働いてるんでしょうか?増えてるのか?またはコロナ禍により減っているのか?結論を言うとほぼ一貫して増えています

2021年約1,727万人

2020年約1,724万人

2019年約1,659万人

2018年約1,460万人

2017年約1,279万人

2016年約1,084万人

2015年約908万人

2014年約788万人

2013年約718万人

2012年約682万人

2011年約686万人

2010年約650万人

2009年約563万人

2008年約486万人(この年から届出が義務化)

2012年を除き、コロナ禍の現在を含め全て増加傾向にあります。

ちなみに2012年の減少理由については、当時の雇用失業情勢が厳しく、 同年7月以降、自動車などの輸送用機械や電気機械などを中心とした製造業の事業所を離職した外国人がたくさんいたことによるそうです。

2021年10月末の段階で外国人労働者人数は1,727,221人と過去最高を記録しました。ただし増加率については前々年が13.6%、前年が4.0%だったのに対し、2021年は0.2%とほぼ横ばいとなりました。

産業 令和元年 令和2年 令和3年
建設業 93,214人 110,899人
18.97%増加
110,018人
0.79%減少
製造業 483,278人 482,002人
0.26%減少
465,729人
3.38%減少
情報通信業 67,540人 71,284人
5.54%増加
70,608人
0.95%減少
卸売業・小売業 212,528人 232,014人
9.17%増加
228,998人
1.30%減少
宿泊業・飲食サービス業 206,544人 202,913人
1.76%減少
203,492人
0.29%増加
教育・学習支援業 70,941人 71,775人
1.18%増加
73,506人
2.41%増加
医療・福祉業 34,261人 43,446人
26.81%増加
57,788人
33.01%増加
サービス業 266,503人 276,951人
3.92%増加
282,127人
1.87%増加
その他 223,995人 233,045人
4.04%増加
234,955人
0.82%増加

産業別に見てみると、下記の特徴がわかります。

一貫して減少・・・製造業

一貫して増加・・・教育・学習支援業、医療・福祉業、サービス業、その他

一旦減少して回復・・・宿泊業・飲食サービス業

急増して揺り戻し・・・建設業、情報通信業、卸売業・小売業

その中でも「医療・福祉業」の増加は凄まじいものがあります。元々の人数が少ないのも割合上昇の一因でしょうが、それにしても大きな変化です。

また2021年10月末時点の在留資格別人数で見てみるとどうでしょうか。

在留資格の種類 人数 増減率(前年比)
特定活動 65,928人 44.7%増加
専門的・技術的分野の在留資格 394,509人 9.7%増加
身分に基づく在留資格 580,328人 9.7%増加
技能実習生 351,788人 12.6%減少
資格外活動 267,594人 12.7%減少

一番上の特定活動が急増している理由は、卒業や離職等で本来は帰国しなければならなくなった人たちが、帰国困難を理由に特定活動の在留資格を取得したからだと考えられます。

専門的・技術的分野の在留資格と身分に基づく在留資格が増えたのは、新型コロナウイルス感染症の影響により入国制限がかけられる前に来日していた人たちが、これらの在留資格に変更したことが理由だと考えられます。

そして、技能実習生と資格外活動(アルバイト)が減っているのは入国制限の影響ですね。日本が留学や働き先から外れることはなかなか考えづらいので、入国制限解除に伴って数字は回復していくでしょう。

出典:厚生労働省『「外国人雇用状況」の届け出状況まとめ(令和3年10月末現在)

在留資格って何?それぞれの特徴について

いきなり「在留資格別の…」と書かれても、「その在留資格って何?どんな種類があるの??」という疑問を持つ方もいらっしゃると思います。私もその一人でした。それぞれの特徴を以下で押さえていきましょう。

「在留資格」とは

在留資格とは、外国人が日本で滞在できる証明です。外国人は来日する前にその目的を母国の日本大使館や領事館に資料を提出して説明し、日本の法務省が審査した後に在留資格をもらうことができます。なお、VISA(査証)とは別物です。そして、一般に就労ビザと言われるものは就労できる種類の在留資格を指します。紛らわしいですね。

どんな在留資格が許可されたかは本人が所持している「在留カード」に明記してあります。注意点としては、日本で行える活動・仕事は在留資格に定められたものでなければならないことです。それ以外の活動をすると「不法就労」や「不法滞在」の罪に問われる恐れがあります。

また、雇っていた側も「不法就労助長罪」として3年以下の懲役または300万円以下の罰金が課せられてしまいます。「知らなかった」は通用しないので、外国人を雇用する場合は必ず「在留カード」やパスポートの提示を求め、就労可能な在留資格を持っているか確認しましょう。

在留資格は合計29種類

在留資格は全部で29種類あります。数が多いので、大きく4つに分類した上で、それぞれの特徴を見ていきましょう。

専門的・技術的分野の在留資格

その名の通り、高い専門性や技術を活かして日本で活動するための在留資格です。該当職種は16種類です。

在留資格の種類 説明および具体例
外交 大使、総領事
公用 大使館職員・領事館の職員、その家族
教授 大学や高等専門学校の教授、助手、非常勤講師など
芸術 作曲家、画家、著述家
宗教 宣教師
報道 記者、カメラマン
高度専門職1号・2号 ポイント制で学歴・職歴・年収等が優秀と判断された者(1号は5年間、2号は無期限在留可能)
経営・管理 経営者、管理者
法律・会計業務 弁護士、公認会計士
医療 医師、看護師
研究 研究者
教育 語学教師(学校機関)
技術・人文知識・国際業務 技術者、通訳、デザイナー、語学教師(私企業)など
企業内転勤 外国の事業所からの転勤者
興行 俳優、ダンサー
介護 介護福祉士
技能 調理師、スポーツ指導者、航空機操縦者、加工職人
特定技能1号・2号」 政府の目玉政策、後述

身分に基づく在留資格

就労や勉強など「活動に基づく在留資格」は予め決められたことしかできないのに対して、「身分に基づく在留資格」は日本にいること自体を許可するものなので何でもできます。逆に何もしていなくても日本にいられます。全部で4種類あります。

在留資格の種類 説明および具体例
定住者 日系人、難民などに与えられる。在留期限がある。
永住者 10年以上日本に継続的に在留した人が申請できる。在留期限が無い。
永住者の配偶者等 永住者と結婚した配偶者、その子供に与えられる。在留期限が無い。
日本人の配偶者等 日本人と結婚した配偶者、その子供、その特別養子に与えられる。在留期限が無い。

特定活動

多様化する外国人の日本での活動に対応するために設定された制度です。「特定技能1号・2号」と名前が似ているので、混同されることがよくあります。

この制度はもともと「在留外国人の活動範囲が広がるたび、それに合った在留資格を増やすことは大変!」「法改正はすぐには無理!!」という声に応えて作られました。国会で審議せずとも、法務大臣の告示等で増やしたり減らしたりできるので、現実にあわせた柔軟な運用を可能としています。その分、頻繁に内容が変わるため、専門家でもない限りその実態を正しく把握することは困難と言えます。

「特定活動」…ワーキングホリデー、アマチュアスポーツ選手など50種類近く!

最近ではコロナ禍で帰国できなくなった技能実習生などがこの資格に切り替えていました。なお、就労については法務大臣が指定した活動のみ可能です。

資格外活動

在留資格の中には就労が許されていないものもあります。例えば、観光で来ている人は働く必要がないですよね。

一方、留学生など本来は学ぶことが主たる活動ながら、長い間日本で生活するために安定した収入が必要な人もいます。こういった人たちに主たる活動に悪影響を及ばさない範囲内で就労を許可する制度が「資格外活動」です。

実は、留学生の身分で働ける国というのはそこまで多くないので、日本留学が人気な理由の一つにこれがあります。一部メディアでは「偽装留学生」と揶揄されています。

在留資格の種類 説明および具体例
文化活動 収入を伴わない芸術活動・文化研究など。
留学 日本の大学、高等学校、専門学校で教育を受ける活動。
研修 技能実習と留学の活動を除く技能の習得を行う活動。
家族滞在 「専門的・技術的分野の在留資格」「文化活動」「留学」の資格を持つ外国人の扶養家族。
短期滞在 観光、保養など

最近の動向をお話しすると、基本的に「短期滞在」の外国人に資格外活動許可はおりなかったのですが、新型コロナウイルス感染症の影響で帰国できなくなった人々を対象に例外的に許可が与えられていました。噂によると、来日できない技能実習生の代わりとして重宝されているらしいです。

次回「技能実習生」について

外国人労働者の在留資格で良くも悪くも耳にするのは「技能実習生」ではないでしょうか。ニュースなどでもこの名前を目にする機会は多いと思います。その分語ることも多く、それにまつわる問題の根も深いです。

次回はこの「技能実習生」と「特定技能」を比較しながら、詳細を見ていきたいと思います。

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