コロナ禍における日本語学校の状況

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今回は寄稿記事です。新型コロナウイルスの影響で日本に入国できなかったり、教室に通えなかったりする留学生たちが直面している問題や新しい指導方法を取り入れ、発展している日本語教育の現状についてお伝え致します。

コロナの現況

未だ猛威を振るうコロナ。世界の新型コロナウイル感染者は日本時間6月24日午前10時00分時点で1億7978.8万人となっています。世界最大の感染国である米国は累計3347.3万人。世界の感染者数と死者数は増加傾向にあります。

コロナウイルス感染症の蔓延

コロナにより影響を受けた日本語学校の現状

コロナによって、日本だけではなく世界中に存在する日本語学校はオンライン化を強いられるなど、様々な影響があります。

下記の図の通り、コロナの影響もあって、日本に存在する日本語学校などへの在籍者は減る一方で、日本語教育機関は困窮しています。

コロナ禍における日本語教育機関の困窮と支援のお願い
引用:『コロナ禍における日本語教育機関の困窮と支援のお願い』資料

また、実際にコロナで来日できるかの不安を抱えている学生もいます。下記の記事にある通り、バングラデシュから来日したサイドラジャイ・ラッビさん(24)は入学できた28人のひとりです。入学は昨年4月のはずでした。来日できるかどうか不安を抱えて半年間、母国で待つことを余儀なくされましたが、昨年秋から始まった政府の緩和策によって入国することができました。「日本の大学で勉強するという目標があるので、我慢できた。無事に来日できてほっとしている」とのことです。
参考記事:『日本語学校が危機 コロナで学生来日できず「閉校も…」』(朝日新聞)

そして、日本語学校としても、2年で留学生を手放したくはない、自ら専門学校を設立し、内部進学させようとする動きも目立っております。逆に、専門学校や大学が日本語学校の運営に参入するケースもあります。まさに留学生をめぐって争奪戦が繰り広げられているわけです。そんな中、進路妨害などの人権侵害を受ける留学生が少なからず存在することは、世に全く知られておりません。
参考記事:『バブル崩壊後の日本語学校の犠牲となる留学生』(WEDGE Infinity)

上記の状況が継続すると、

  1. 日本語教育期間の学費は、原則として前納(半年~1年)
  2. 入国制限緩和の見通しが立たず、また日本語学校への批判から、キャンセル続出
  3. 学費返金ができない日本語教育期間が出てくる可能性(資金状況悪化のため)
  4. 日本語教育期間が破綻
  5. 国際問題に発展の可能性

といった流れが容易に想像できてしまいます。

日本語学校へのインタビュー

また、私は、国内と国外における在校生数300人規模の日本語学校関係者にインタビューを行い、現状を定性的に調査しました。以下に回答を一部抜粋し記載しております。

日本語学校関係者へのインタビュー

インタビュー数
4名
国籍
日本(町田)、ネパール、インドネシア、ドイツ

コロナ禍によって、どのように状況が変化したか

  • 学生の登校は極力無くし、Zoomを使って授業をしている(日本)
  • 学生は登校とオンラインを織り交ぜている(ネパール)
  • 学生は完全にオンラインに移行したが、急な変化なので対応できていない学生が多い(インドネシア)
  • オンラインに移行したが、対面とのコミュニケーションと異なり、ビデオ通話などで顔を出さない生徒もいるのでコミュニケーションの難しさを感じている。ただ、MOODLEなどのITツールにより、学生の管理はできている(ドイツ)

コロナ禍によって、どのようなことに困っているか

  • 学生側が急なオンラインへの対応ができておらず、戸惑っている
  • オンラインで授業をしているが、インフラが整っていないため、何度もインターネットが落ちてまともに授業ができない。しかし生徒たちはあまり学習に焦っているわけではない(ネパール)
  • オンラインで授業を行なっているが、休学をしてしまっている生徒も多い。また、フルタイムでの授業も困難である(インドネシア)
  • 双方向のコミュニケーション(ドイツ)

どのようなサポートが必要か

  • 財政的な支援が欲しい(日本)
  • オンラインでも生徒の日本語学習へのモチベーションを維持し続けるサポートが必要(日本、ネパール、インドネシア)
  • 生徒の勉強時間が分からないため、生徒がどのくらい勉強しているのかがわかると嬉しい(ネパール)
  • 生徒の管理がより煩雑にはなっているので、ITか何かで教師側の手間が省けると助かる(ネパール)
  • 待機留学生が自宅で勉強できる環境づくり(日本)
  • 特にこれといったサポートは必要ないが、学生が家でどのくらいの自習学習をしているのかがわからないので、わかると嬉しい

上記のデータと定性的インタビューを踏まえ、私は日本語教育の基盤を支えるべく、日本語学習者が1人でも日本語の学習を継続できる仕組みを開発しました。

IPPO -Learning Japanese App Especially for JLPT- β版

AI日本語学習アプリIPPO

  • 日本に留学したいけどコロナの影響で日本に滞在できず、日本語学習ができない方
  • 日本で働きたいけど、働くために必要なJLPTがなかなか合格できない方
  • 日本で生活しているけど、日本語が分からず生活に支障が出ている方
  • 日本語学校に通っているけど、受動的で日本語学習が捗らない方

様々な課題を抱えている日本語学習者のために、一般的な日本語学習サービスよりも安価で総合的な日本語学習ができるアプリを開発しました。

アプリ名は“IPPO”といいます。
全ての方が、「日本(にっぽん)」と「夢に向かって一歩(いっぽ)を踏み出す」という言葉からヒントを得ました。

より多くの方に使ってもらえるよう、N5に向けた学習に関しては永久に無料、そして登録後2週間は全ての検定級の学習が無料です。是非一度目を通してみてください。

特徴としては、JLPT合格に向けて必要な学習素材を全て実装していることは勿論ですが、勉強時間の可視化とJLPTの合格率を算出することで、日本語学習を継続できるようにモチベーションを維持し続ける仕組みがあることです。

私たち”IPPO“プロジェクトの理念は、情報技術とデータを使って国際関係を滑らかにし、多文化共生を実現することです。この“IPPO”も理念に基づき、様々な国籍の人から意見を貰いながら、学習者一人ひとりに合ったアプリとするためAI技術も取り入れながら開発を進めて参りました。

共に日本語教育の効率化を進めましょう

是非とも本記事をご覧になった日本語教育関係者の方々、また外国人労働者を抱える企業様に、このアプリを触れていただき、身近にいる外国人の日本語学習者の方に教えてあげて頂きたいです。

また、現在日本語教師の方々と相談を進めており、教師の方がより簡単に学習者と連携が取れる(出席管理やテストの管理など)設計を考えております。もし本アプリの導入をお考えいただけた場合は、下記アドレスにご連絡を頂けますと幸いです。

メール >> info@ippo-japanese.com
担当 >> 下島 健(しもじま たける)

コロナ禍でも、少しでも日本と日本語を愛する人が増えることを願っております。

【寄稿者プロフィール】
下島 健(しもじま たける)
2017年 東京外国語大学言語文化学部卒業
2018年 株式会社LCNEM共同創業
2020年 “IPPO”プロジェクトを、東京外国語大学卒業生/在学生と共に発足
大学で専門的に勉強していた『多文化共生』の実現のために、情報技術とデータの力を活用

外国人雇用に関する綿密な調査と積極的な情報発信を手掛ける新メンバー。『グローバル』や『ダイバーシティ』という単語がメディアを踊る中、外国人を頼れる仲間として雇用する企業・団体が増えていかない現状に課題を感じ、海外で過ごしてきた自身の経験も活かしながら記事を書いています。

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