地方での高度外国人材採用は難しい?

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本当に地方に高度外国人材は来てくれるのか?

弊社から外国人材を紹介させて頂いている中には、地方の企業様も少なくありません。今でこそ順調に外国人材の採用・定着が進んでいるそれらの企業様が、はじめて採用をするとき、共通して気にされたのは「本当に地方に外国人材は来てくれるのか?」という点でした。

たしかに高度外国人材、特に外国人留学生は、学校が多く集まっている東京、大阪などの都市部やその周辺で生活の基盤を築いている場合が多く、住み慣れた場所から離れたがらない傾向にあるのは事実です。

ただ、何がなんでも都会から離れるのは嫌だと思っている、もしくは離れられない事情があるという人は、実は意外と多くありません。彼らの中には、単純に聞きなれない土地で生活することが想像できず、漠然とした不安を感じているだけの人がいます。

彼らのその漠然とした不安具体的なイメージに変えていくことが、地方での外国人採用の鍵となります。

「家探し」の本当の意味

初めての土地で新生活を始めるにあたり、家は欠かせない要素です。住むところがよくわからない中、引っ越しを決める人などいないでしょう。

分かりきったようなことですが、意外に見落とされています。面接を通じて、日本語が堪能かつ日本での生活も長いからと安心して、自分で家を探せると思っても、実際にはかなり苦労しています。だからこそ、住居のサポートは外国人の採用において重要なのです。そして、特に地方では物質的な住居サポート(House Support)に加えて、精神的な住居サポート(Home Support)が重要です。

「ホームシック」という言葉が示すとおり、人間は心の拠りどころ=Homeがないとまともに生活できません。外国人が都市部を好む理由は、生活の便利さもありますが、心を許せる存在やコミュニティが近くにあるからです。従って、地方への就職を促すときは、行った先にHomeが用意されていることを理解してもらうことが大切です。

例えば、候補者と同じ国出身の人たちによる集会や支援会がないか探します。レストランや食料品店があるなら、ほぼ間違いなくコミュニティは存在します。自治体が提供している生活支援プログラムも役に立つでしょう。力を入れているところですと、「多文化共生センター」や「国際交流サロン」などの名称で活動する団体があり、無料もしくは安価での日本語教室や日本文化体験会を開くなどしています。

地域に人々の温かいふれあいがあるという点は、十分採用を有利に進める武器になり得ます。弊社が毎年多くの外国人材を東京から各地方都市に紹介できているのも、こういった地域の方々の魅力あればこそです。求人情報と求職者との機械的な条件マッチングだけでは、こうはならないでしょう。

その地域で生活するイメージを持たせる

心の拠りどころを用意して、精神的な住居サポート(Home Support)をした後は、物質的な住居サポート(House Support)を行います。

まず、真っ先に問題になるのが交通事情です。どこに行くにも交通機関が整備されている都市部と異なり、車での移動が必要な地域は対策が必要な場合が多いです。

国際免許を持っていたり、母国の運転免許の切替手続きが完了している人であれば良いのですが、多くの人は日本国内の自動車運転免許を持っていないため、移動範囲が制限されがちです。住居が会社に行きやすい場所である他、徒歩や自転車で行ける距離にスーパーやコンビニがあるかも確認しましょう。

入社前に自動車運転免許を取得してもらうのも一つの手です。日本語能力N3相当の力があれば、合宿形式の教室に2〜3週間通い、その後筆記試験の勉強に同じく2〜3週間費やせば、多くの人は合格できます。費用についても20~25万円程度なので、入社準備金として支給したり、一旦貸し付けて入社後に毎月返済したりなどできます。一度検討してみるといいでしょう。

「収」だけでなく「支」もみせる

次に、その地域の標準的な生活費用を説明しましょう。東京は家賃が高く、収支で考えれば地方都市の方が貯蓄できる場合も少なくありません。自治体よる住居支援金などが利用できるならなおさらです。

地方都市での生活経験を持たない外国人は、生活費用についていくらかは安くなるだろうという感覚があっても、実際にいくら安くなるのかは知りません。

一方で、収入については求人票や採用募集情報等で明確に比較ができてしまいます。漠然とした感覚より、確かな事実に基づいて判断を下すのは、ごく自然なことでしょう。だからこそ、都市部での生活コストが基準になっている彼らが提示給与額を見て「これでは生活できない・・・」と判断してしまわないよう、支出についても具体的な数字をみせることが大切です。

1,000円単位のざっくりとした試算で構わないので、項目ごとに生活費用を算出し、問題なく生活ができるという安心感を与えましょう。そうすれば、地方に行くことへの抵抗もある程度は薄れます。

昼食を食べよう。雑談をしよう。

昼食はコミュニケーションにおいて素晴らしい機会です。労せず時間と場所を揃えやすく、気軽に誘えて、長居はしない。日中でエネルギーもまだ余っており、堅苦しくない雰囲気の中で雑談を楽しめる。外国人社員とのコミュニケーションを図る場として、昼食を利用しない手はありません。

特に、まずは1名外国人社員を雇用しよう、もしくは雇用しているという会社は昼食をうまく活用して、彼らに疎外感を与えないようにしてください。

社員同士の雑談は毎日見る光景だと思います。そのとき、言葉に気を遣う必要もなく、話題も共有しやすい日本人社員だけで盛り上がってしまうというのは、ありがちなことです。本人たちにはまったく悪気はないのですが、そういうときに一人取り残されがちな外国人社員が「仲間外れ」にされたような気持ちになり、どんどん孤独感が強くなって、ついには仕事を辞めてしまうという例が後を絶ちません。

Homeの感覚を会社内に持ってもらうためにも、業務関連以外の雑談をして、同じコミュニティの仲間という意識を感じてもらえる工夫をしてください。前述の通り、心の拠りどころがないと、人はその場所で生きていけません。一緒に働いている、必要とされている、という実感が、そのコミュニティ=会社への定着に繋がるのです。

中村拓海

高度外国人材に特化した人材コンサルタント。人材探索から在留資格申請、入社後の日本語教育、ダイバーシティ研修等、求人企業の要望にあわせた幅広いサービスを提供する。また留学生専門キャリアアドバイザーとして東京外国語大学、横浜国立大学、立教大学、創価大学等で外国人留学生の就職支援を行い、80カ国・500名以上の就職相談を受ける。内閣官房、内閣府、法務省等の行政および全国の自治体における発表や講演実績も豊富。

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